プリウス 故障

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プリウスは故障が多い?よくある故障とその修理費用を元整備士が徹底解説!

プリウスの画像

 

世界初のハイブリット(以下HVと表記)量産車として、トヨタ自動車が1997年12月に販売を開始した「プリウス」は、新車市場で幾度となくトップセールスを記録している、同社のみならず日本を代表する人気HV車です。

 

そして、プリウスは筆者が所属していた中古車業界でも、老若男女問わずよく売れる車種の代表的存在ですが、ネット上には「故障しやすい!」とか「修理費用が高い!」などの情報がある一方、「故障しにくくてコスパも良い!」という真逆の声も。

 

ディーラー保証を受けられる新車ならともかく、中古でプリウス購入を検討しているユーザーは「真実」を知りたくて仕方ないはず、という訳で今回はプリウスという車が故障しやすいか否か、整備士としての経験とデータからズバリ回答。

 

その後、比較的故障しやすいと考えられる箇所を挙げたうえで、修理時の費用相場についてもまとめていきたいと思います。

 

 

プリウスが故障しやすいと言われる「3つの宿命」

トヨタHV1000万台突破のグラフ画像
出典:SANKEI DIGITAL

 

結論から言ってしまいますが、国内外に数多くある車種の中でトップレベルに故障率が低く、総じて長持ちする車こそ「プリウス」であり、購入後の故障が心配という理由でプリウスを選ばないなら、正直世の中に安心して乗れるHVなんて存在しません。

 

 

初代モデルこそ6年で12万台しか売れませんでしたが、モデルチェンジをするたびにプリウスのHVシステムに対する信頼性はどんどん向上し、2017年にはトヨタ・HV車の世界累計新車販売数が、ついに大台である「1,000万台」を突破。

 

パイオニアであるプリウスが故障しやすく、維持・修理コストがかさむ車だった場合、プリウスはもちろんHV自体が消滅しているはずで、世界的支持を受けるジャンルに成長を遂げるわけもありません。

 

事実、プリウスは世界的調査会社である米・J.D.パワー社が実施している、メーカー・車種別耐久度ランキング「Vehicle Dependability Study 」において、毎年のようにコンパクト・カー部門で第1位を獲得しています。

 

元整備士である筆者の経験だけでなく、世界的権威を持つ第三者調査会社のデータから見ても、プリウスは壊れにくく安心して購入できる車と断言できますが、HVという新ジャンルを切り開いた存在ゆえ、3つの悲しい宿命を背負わされた車でもあります。

 

理由1「見切り発車?!初代モデルの影響」

プリウス初代モデルの画像

 

今では、メーカー問わずあらゆる車種が採用していますが、初代プリウスが登場した20世紀末当時の一般ユーザーはもちろん、もしかしたらトヨタ販売員であってもHVという「新技術」を、完ぺきには理解していなかったかもしれません。

 

メーカー発表で「28km/L(10・15モード)」という、当時では驚異的な燃費性能を誇っていたものの、新車価格が同程度の車格である「カローラ」より約63万円高い、215万円だったため「これじゃ元が取れない」と考える方も多かったようです。

 

また、走行性能が既存のガソリン普通車より物足りなかったのも確かで、中には軽自動車並みと揶揄する専門家もいましたし、HVシステムの故障を心配するユーザーも多かったためか、正直セールス的に成功したとは言えません。

 

事実、心臓と言えるHVシステムのメインバッテリーは非常に故障しやすく、特に2000年5月のマイナーチェンジ以前のNHW10型は、3〜4年で寿命を迎え交換に約45万円程の費用がかかるという情報が、現在でもネット上に多く出回っています。

 

しかし、そのような事態に陥ることはトヨタも織り込み済で、初代プリウスのNHW10型に関しては、メインバッテリー交換の「永年無償保証」が付いていいるため、20年以上経過した今でも乗り続けているオーナーを、筆者は何人も知っています。

 

ではなぜ、トヨタは売れば売るほど赤字になりかねない初代プリウスを、メインバッテリーの改良を待たずリリースを敢行したのか、その秘密は日本特有の国民性を考慮した、同社一流の「経営戦力」に隠されています。

 

あくまで一般論ですが、日本人は目新しい商品やサービスを警戒する傾向にあり、HVシステムという聞いたこともない新技術ではなく、長年にわたる販売実績がありそこそこの性能を有していれば十分、と考える国民性があります。

 

トヨタがもし、HVという新技術で儲けたかっただけなら、当時同社の絶対的エース・カローラへ搭載・リリースしたほうが、何倍も売れたでしょうし利益も数段多かったはずです。

 

にもかかわらず、トヨタがわざわざプリウスという新ブランドを立ち上げ、なおかつ目新しいものを警戒する国民性を熟知しながらHVを搭載したのは、HVこそが21世紀の車トレンドの中心になることを、同社が確信していたからです。

 

つまり、初代プリウスが爆発的に売れなかったのは、トヨタの未来を見据えた発想に筆者を含めた業界人や、一般ユーザーがついていけなかったからですが、後のHV繁栄に貢献した「人柱」的存在であるため、いまだに故障しやすいとイメージが付きまとっています。

 

理由2「販売台数=故障事案&口コミの多さ」

 

読者の皆さんの中には車を乗り換える際、ディーラー下取りより高く売れることも多い「ガリバー」や「ビッグモーター」などの大手中古車買取チェーンを利用した、もしくは利用を検討する方も多いはずです。

 

そして、どこに売るのがベストか買取店を選ぶ際、ネットやSNSなどをリサーチして、評判や口コミの良い業者を一生懸命探すこともあるでしょうが、大抵の場合前述した大手の評判は目を疑うような悪い声が多い。

 

「接客が雑」とか「査定額が安い」などといった具体的なものから、誹謗中傷まで様々ですが何もガリバーやビッグモーターが悪質業者という訳ではなく、こういった大手チェーンは利用者が膨大な数に及ぶため、どうしても口コミが増えてしまうのです。

 

一般的に人は良いうわさはスルーしがちですが、悪いうわさには興味津々ですぐに拡散するため、「ガリバーはヤバいからやめろ」とか「ビッグモーターは詐欺業者」といった、「根拠のないマイナスイメージ」がネット上に溢れかえってしまうのです。

 

全く同じ現象が空前の大ヒットを記録し続けている、2代目以降のプリウスにも発生しており、使用年数や走行距離が延びれば他車でも当然故障する箇所なのに、「プリウスだから」というレッテルを追加した口コミがとにかく多い。

 

確かに、現役時代「壊れた」と持ち込まれるプリウスは台数的に多かったものの、ほとんどが使用状況がハードだったかメンテナンス不足による故障で、同様の扱いを受けた他車ならもっと早い段階で、悲鳴を上げる可能性も高い事案ばかりでした。

 

そもそもプリウス最大の魅力は低燃費性能であり、製造元のトヨタは長距離・長時間使用を想定した初代モデルを試験的に投入、得た実走行データをもとにシャーシ・トランスミッション・足回りや、HVシステムを最適化したうえで2代目・3代目をリリースしました。

 

批判覚悟でハッキリ言っておきますが、数えきれないほど実際に触れあってきた筆者ではなく、「プリウスは故障しやすい」というネット情報を信用する方は、これ以上根も葉もないうわさが増えると可哀そうなので、プリウス購入をお控えください。

 

 

理由3「プリウスミサイル発生原因への誤解」

プリウスミサイルの画像
出典:Twitter

 

プリウスが日本で最も売れる車になったのは2009年のこと、前年度カローラがホンダ・フィットに奪われていた販売台数首位の座を取り返してからですが、この頃から徐々に交通事故の「加害車両」としてニュースなどに登場する、不名誉な機会が増え始めます。

 

プリウスは、新車・中古車ともに流通台数が多いので必然的な現象と言えますが、落ち着いたデザイン(現行モデルは少々ヤンチャですが)から年配層の支持も厚かったため、高齢ドライバーによる痛ましい暴走事故の元凶として、このところバッシングされています。

 

制御不能となったプリウスが歩行者らに突っ込む姿を揶揄した、「プリウスミサイル」なるワードがトレンド入りする事態に発展していますが、交通事故の原因はドライバーの誤操作がほとんどで、車の故障や不具合にせいにするのは責任転嫁に他なりません。

 

詳しくは、当サイト内の「プリウスミサイルの原因は高齢者ではなかった!?」で解説していますので、気になる方は是非ご覧ください。

 

⇒【徹底究明】プリウスミサイルの原因は高齢者ではなかった!?

ココだけはチェック!プリウスによくある故障と症状・修理費用

 

さて、ここまでの解説で「プリウス=故障しやすい車」ではなく、むしろ故障しにくく長寿命であり、巷に溢れる故障情報は大ヒット・モデルだからこその「風評被害」か、根拠に乏しい「ガセネタ」であることをご理解いただけたと思います。

 

しかし、故障しにくいのは確かですが自動車である以上「故障しない」わけではなく、「コレはプリウスの弱点かも…」と指摘せざるを得ない故障しやすい箇所が、少ないもののいくつか存在します。

 

そこでこの項では、歴代プリウスによく見られる故障と症状、修理に要する費用相場を解説しつつ、長持ちさせるため必要なメンテナンスの「コツ」を、読者の皆さんに伝授いたします。

 

 

ウォーターポンプ不具合によるインバーターの故障

 

 

ウォーターポンプとは、走行中高熱になるエンジンを冷やす「ラジエーター液(冷却水)」を、絶えず循環させる役割を持ったパーツであり、故障・停止すると車は即座にオーバーヒートを起こし、最悪の場合エンジンが焼き付いて使い物にならなくなります。

 

車の寿命に直結する重要パーツであるため非常に強度が高く、例外もありますが10年・10万km程度ではめったに故障しませんし、交換時必ず外すタイミングベルトがチェーンに移行している現在、廃車まで一度も交換しないケースもザラです。

 

しかし、プリウスを始めとするHVには、エンジンとは別にもう1つ作動中高熱を帯びる「インバーター」というパーツが存在し、それを冷却するためのウォーターポンプも備えられており、こちらの故障事案が多くなっています。

 

インバーターとは、発電した直流電気を交流電気に変換するパーツであり、高熱にさらされ続け故障するとHVシステム全体に悪影響が及びかねず、その場合は修理費用が超高額(軽自動車なら買えちゃう!!)なので、正直廃車もやむなしです。

 

ただ、インバーター自体は構造が簡易で冷却されていればなかなか壊れませんが、プリウスの場合はその役目を担うウォーターポンプがやや貧弱で、早い段階で不具合を起こすことが多く、走行中「HVシステム警告灯」が付いたときは故障発生を疑うべきです。

 

HVシステム用ウォーターポンプの故障し、ディーラーで純正新品に交換すると部品代・工賃込みで概ね5〜6万程度必要ですが、リーズナブルなリビルト品をゲットして工賃が安い業者に持ち込み交換を依頼すれば、半分以下のコストで修理することも可能です。

 

また、2009年登場の3代目モデルは新車から9年間、トヨタが無償交換に対応しているため、警告灯の点灯に関わらず交換されているか否かをディーラーで確認し、未交換の場合は無償交換の有効期限が切れる前に交換したほうが◎。

 

加えて、2003年販売の2代目モデルの場合は「リコール対象」となっており、こちらには有効期限など存在しませんが先延ばしにすると、突然HVシステムにトラブルが発生する可能性もありますので、トヨタに愛車を持ち込んで対応済かどうか確認しましょう。

 

なお、エンジン・HV共にウォーターポンプを長持ちさせるため、実施すべきメンテナンスはただ1つ、どちらもラジエター液が汚れた状態のまま、長期間使用すると寿命が縮んでしまいますから、車検や点検時プロから指摘されたら素直に交換したほうが良いでしょう。

 

電動パワ―ステアリング機構の故障

 

 

パワーステアリングはハンドル操作を楽にする装置で、現在の車にはほぼすべてに装備されていますが、プリウスの場合は一般的である油圧式ではなく「電動式パワステ」が採用されており、こちらの故障・トラブル事例が古い年式の車体ほど多くなってきます。

 

電動パワステに不具合が発生すると、ハンドルが重く感じたり旋回時に異音がするなどの症状が出始め、走行中完全に故障した場合は操作不能となり、事故を誘発するリスクが高いため、何らかの異常が見つかった場合は程度に関わらずASSY交換するのがセオリー。

 

トヨタで純正新品に交換すると、工賃込みで8〜10万円程度の出費を覚悟すべきなので、リビルトで部品代を節約したいところですが、油圧式と異なりプリウスのリビルト電動パワステはあまり出回っていません。

 

ヤフオクなどのネットオークションでは、中古品が破格値で出回っているものの、すぐに故障しかねないため乗り換えまでの「つなぎ」ならともかく、交換後長く乗るつもりであれば使用しない方が無難です。

 

とはいえ、現行モデルはもちろん3代目後期(2011年12月マイナーチェンジ)に関しては、前述したウォーターポンプほど頻繁に持ち込まれる故障ではないため、それほど神経質にならなくても大丈夫です。

 

一方、電動パワステ機構が成熟していなかった、初代・2代目・3代目前期については、走行中突然ハンドルが効きづらくなったという情報も少なからず存在するため、中古購入する際は必ず試乗し、ハンドル操作に違和感がないか確認するよう心がけましょう。

 

また、オイル管理を徹底することで寿命を延ばせる油圧式と違い、プリウスの電動パワステをメンテナンスする方法は存在しませんが、急なハンドル操作を控えることによって若干長持ちさせることも可能で、ひいては安全運転に繋がるのでぜひ実践してください。

 

燃料レベルゲージの故障

 

ガソリン車には必ず、燃料の残量を測定しメーター内のに反映する、「レベルゲージ」というセンサーがタンク内に必ず備わっており、ドライバーは残量の大小に応じて給油タイミングを決定します。

 

近年、ガソリンスタンドが激減しているため「まだイケる!」と粘ってガス欠し、JAFやレッカー業者に救援を依頼するケースも増加しているようですが、プリウスの場合ドライバーの責任ではなく、レベルゲージの故障が原因であることも多いようです。

 

通常、ガソリン車のレベルゲージは故障すると残量ナシの表示が出て、慌ててガソリンスタンドへ飛び込んで給油してもあまり燃料が入らなかったり、満タンにしても表示がフルに達しないケースがほとんど。

 

一方、厄介なことにプリウスの燃料レベルゲージが故障すると、実残量より多く表示されてしまい、「燃費が良いプリウスならまだ大丈夫」と考えたドライバーが、ガソリンの減少に気づかず長距離走行しガス欠に至る、「負の流れ」が出来上がっているようです。

 

さらに普通のガソリン車なら、レベルゲージをASSY交換しても1,5万〜2万円あれば十分ですが、プリウスの場合は燃料タンクごと交換しなくてはならず、リビルトや中古品がほとんど出回っていないため、10万円以上のコストが必要です。

 

ただ、それほど頻繁に故障する箇所ではありませんし、仮に壊れても走行自体には何ら影響はなく、日頃の実燃費を把握してマメな給油を心がけることにより、だましだましですが問題なく乗り続けることも可能です。

 

リアハッチからの激しい雨漏り

 

4ドアセダンだった初代モデルを除く、5ドアハッチバックの2代目以降に共通する故障事例であり、特に3代目モデルで顕著に表れているのが、リアハッチからの激しい雨漏りです。

 

原因は、リアハッチ開口部からの雨水等の侵入を防ぐ、「ウェザーストリップ」の経年劣化による密着性低下でサビや嫌な臭いが発生するほか、酷いケースではトランク内にタプタプの汚水がたくさん溜まることもあります。

 

雨漏りの程度が軽い場合は、すぐに水分を除去したうえで念入りに清掃すれば、サビと臭いの発生を防げますが正直キリがありませんし、万が一トランクに設置されている補器バッテリーが水没すると、大きなトラブルに発展しかねません。

 

根本的には、リアハッチ全てのウェザーストリップを新品に交換するしか手がありませんが、費用的に3〜4千円程度で新品に交換できるため、清掃の手間とトラブル発生のリスクを考慮すると、症状に気づきたらすぐに交換したほうが良いでしょう。

 

また、開口部をマメに吹き上げたりボディーカバーを装着することで、ウェザーストリップの寿命を延ばせますが、リアハッチからの雨漏りはプリウスの持病と言えるので、筆者としては消耗品と割り切るのではなく、トヨタが一刻も早く改善すべきだと考えています。

 

まとめ

 

プリウスという車は、故障しやすいというよりむしろ故障しにくい傾向にあり、オイル交換など日頃のメンテナンスを怠らなければ、10年・20年乗り続けることも可能で新車・中古車問わず、購入して後悔する心配の少ない車種でもあります。

 

修理費用がガソリン車より高額な半面、HVシステムなど重要パーツに関しては手厚い保証やリコール対応がなされているため、負担なく修理することもできますから、走行中些細なものでも違和感を感じたときはすぐにトヨタへ赴き、点検を受けるようにしましょう。

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