出典:ビークルマニア
今年4月19日正午過ぎ、東京メトロ池袋駅付近の交差点で「87歳・男性」が運転していた「プリウス」が暴走し歩行者を次々にはね10名が負傷、このうち自転車に乗っていた30代の女性と3歳くらいの女児が亡くなるという、非常に痛ましい事故が発生しました。
類似する暴走事故が後を絶たない中、「また高齢ドライバーか!」などの怒りの声と共に、加害車両となったプリウスが歩行者に突っ込む姿を揶揄する、「プリウスミサイル」というワードが、類似する事故が発生するたびトレンド入りしています。
今回は、亡くなられた被害者の冥福をお祈りする意味も込め、トヨタ最大のヒット作であるプリウスがなぜ人の命を奪う「凶器」と化したのか、事故発生原因をドライバー・車両双方から突き詰め、筆者の経験と知識をもとに再発防止策についても言及していきます。
事故原因の大前提には「操作ミス」が必ずある。
結論から先に言うなら、冒頭で触れた事故が死亡事故にまで至った最大の原因は、アクセルから足を離しブレーキを踏まなかった、「ドライバーの誤操作」に尽きます。
加害者は、警察の取り調べの中で「アクセルが戻らなかった」と、プリウスの不具合を主張しているようですが、百歩譲ってそれが事実だったとしてもブレーキさえ踏んでいれば、被害はもっと軽くて済んだかもしれません。
安全運転の肝は、緊急時速やかに減速・停車できる体制を整えておくことであり、帆走速度や感覚が否応なく鈍ってしまう高齢ドライバーの場合、「アクセル2:ブレーキ8」の割合で意識をしておくべきです。
また、同事故の加害者は87歳という高齢であり、運動能力の低下が顕著なのが事故後の報道をみれば明らかで、とっとと免許返納していれば事故そのものが発生しなかったのに、驕りと慢心によってしつこく運転を続けていたのが、何をおいても一番の元凶です。
さらに、事故を起こしたプリウスは2代目モデルであり、現行プリウスに装備されている「衝突回避支援システム」が存在せず、加害者が新型モデルに乗り換えようと考えていたというのも、悔やまれてならない事実です。
感覚の衰えを少しでも感じたときは、年齢に関わらず免許返納を視野に入れるか、歩行者を守る先進の安全装備満載の新型車種への乗り換えを、早急に実施すべきであると当サイトでは考えています。
プリウスミサイルが発生する要因はやっぱりシフトノブ?
プリウスミサイルは「一定の条件」を満たすことで確かに発生しますが、この現象が発生しただけでミサイルと称されるほど、プリウスが猛スピードで暴走することは「ありません」。
プリウスミサイルとは、同車種独特のシフトレバー構造に起因する「誤発進」のことを指し、具体的にはNレンジに入っている状態でアクセルをふかし、何かの拍子でDレンジに入ると飛び出す、つまりプリウスミサイル発射という理屈。
「プリウス ミサイル」とか、「プリウス 暴走」などのワードで検索すれば、検証動画が多数アップされているので是非チェックして欲しいのですが、そもそもNレンジのままアクセルを開けると、けたたましいアラート音とディスプレイに警告が表示されます。
また、こちらは池袋の事故車両と同型の2代目プリウスのシフトノブ画像ですが、
出典:ガリバー
プリウスはいずれのレンジにシフトを入れても、画像の位置までノブが自動で戻る構造になっているため、NレンジからDレンジへシフトするには、「横→下」という2段階の操作が必要です。
手や洋服がシフトノブと接触することでNレンジに入り、そのままアクセルを踏む段階まではあり得るものの、ドライバーが意識して操作しない限り、わずかな衝撃でDレンジに入ってしまうとは考えにくい。
30プリウスのシフトレバーとその操作後の位置です。
— Fire丸山 (@fireroadster) November 28, 2016
どのレンジに入っていても見た目のレバー位置は同じです。常に元の位置に勝手に戻るので区別出来ません。パーキングのみ小さなLEDが点きます。
しかも、エンジンが停止していて無音なのです。そりゃコンビニ特攻するよね。 pic.twitter.com/gRGq5TyDlJ
では、プリウスミサイルはヒューマンエラーでしか起こりえないのか、といえばそうではなく、プリウスはNレンジでいくら強くアクセルを踏んでも、ガソリンエンジンが始動せず、モーターのみ駆動するシステムになっているため、駆動音が極めて静かです。
警告システムが備わっていない古い世代、もしくはシステムが故障していたり、超大音量で音楽や動画を試聴していた(人的ミスな気もするが)場合、若い世代でも空ふかしに気付かず、「もう一度」とばかりにDレンジへぶち込み、急発進する可能性もあるのです。
プリウスだから危険というのはウソ。ガソリン車も危ない。
プリウスミサイルが発動してしまう状況、つまりNレンジのままアクセルをふかし、Dレンジに誤ってシフトした際、例外なく「エンジン始動していない」ため、必然的にプリウスを動かすエネルギー源は、車載バッテリーの残る電力のみとなります。
そして、車載バッテリーの電力だけで引き出されるモーターのパワー(馬力)は、エンジン作動時の半分以下となる「35〜40馬力」程度、プリウスの弱点である「出足の悪さ」はこれが原因です。
一方、同クラスガソリン車には平均180馬力ほどのエンジンが搭載されており、Nレンジでエンジンをふかすと最大までパワーが高まるため、プリウスとは比べ物にならない猛スピードでぶっ飛んでいきます。
また、「プリウスはシフトがわかりにくいからミサイル化する!」と、的外れな追及する声も多々出ていますが、通常Dレンジのすぐ上にNレンジが存在する他のAT車より、プリウスの方がシフトミス発生確率が断然低い。
仮にミスによってプリウスミサイルが発生しても、即座に車速が数十km/hに達するようなことはなく、アクセルから足を離せばたちまち減速しブレーキを踏めばすぐに停車、もしくは歩行者などとの衝突を避けることも、それほど難しい操作ではありません。
つまり、プリウスミサイルという現象だけに注目した場合、プリウスを始めとするHV車の方がガソリン車より危険で、高齢ドライバーがHV車を運転することにより、一連の暴走事故が発生・増加したという理論は、「一切成り立たない」のです。
高齢ドライバー&プリウスが集中砲火を浴びている本当の理由
警察庁によると、18年に死亡事故を起こした75歳以上のドライバーは460人、全体に占める割合は14.8%と過去最悪に達し、併せて実施された事故原因の分析結果では、ブレーキとアクセルの踏み間違いなどの「誤操作」が、30%にも上っていることが判明しました。
とはいえ、間違いは誰にも起こりえることなので「高齢者だから暴走した」、と決めつけるわけにもいきませんし、アクセル・ブレーキはすべての車についている装置で、前述したプリウスミサイルの真相を加味すれば、「プリウスだから暴走した」なんて根拠もない。
ただ、感覚や反応スピードがどうしても衰えていく高齢ドライバーが、多くの暴走事故を起こしているのは事実で、そんな高齢ドライバーが好んで選ぶのが、今バッシングを受けているプリウスという車種です。
つまり、重大事故を起こす高齢ドライバーが残念ながら多い状況と、販売台数の多いプリウスの宿命が相まって、両者をボコボコに叩く書き込みツイートが、ネットやSNSで氾濫しているのです。
プリウスに乗った高齢者が自転車みたいに下り坂から急カーブしてきて、あと一歩前出てたらひかれてました
— ここあ@Ramuh (@cocoa_boo2929) September 12, 2019
高齢者の危ないと思う運転してる車ってプリウスの確率凄いんですけど、高齢者の何かリミッター外す機能でも付いてるんですかね
と思って調べたらプリウスは事故とかそういう話多いみたいですね
今日の運転中も、2回ヒヤっとした。
— まめっち@こゆきLOVE (@mameman555) September 11, 2019
2回ともプリウスでした。
高齢者??プリウス
営業マンっぽい人??プリウス
プリウス恐怖症#プリウスミサイル
加えて、プリウスが多くのユーザーから事故の元凶として、やり玉に挙がっている大きな原因に、悲しすぎる池袋死亡事故の前後にも数多くの暴走事故で「加害車両」として、派手に報道された「風評被害」も挙げられます。
しかし17年10月、東京・吉祥寺の駅前で「85歳男性」が運転する車が暴走し、歩行者を次々と跳ねた事故の被害車両もプリウス。
また、直近で言うなら19年5月に千葉県市原市の公園へ「65歳男性」が、同年6月大阪市で歩道に突っ込んだ「80歳男性」が、それぞれ運転していたのもプリウス(後者はプリウスα)でした。
いずれも、けが人は出ましたが幸い死亡事故には至らなかったため、当時はプリウスというより高齢ドライバーに非難が向けられたのですが、今回の悲しい死亡事故発生により過去に起こった「プリウス暴走死亡事故」の記憶が、多くの方に蘇ったのです。
2016年12月、「暴走プリウス」が福岡市博多区の病院に突っ込み、3人が死亡し7人が負傷した事故では、加害ドライバーである「66歳男性」が過失致死傷に問われるも、公判の中で弁護側は「プリウスの不具合」を指摘し、被告には責任がなかったと無罪を主張。
結局、裁判所は「踏み間違い」による暴走と判断、同被告には実刑判決が下されましたが、加害者が素人の高齢ドライバーではなく、運転のプロであるタクシードライバーだったため、「プリウスの不具合が原因では?」と疑うユーザーが続出しました。
そして、渋谷プリウス暴走事故の加害者も「アクセルが戻らなかった」と、事故原因がプリウスにあるかのような発言をしたことで、「プリウスだから暴走した」というイメージが、多くの方の頭にこびりついてしまったのです。
結論!プリウスミサイルにすら対応できないドライバーは運転すべきではない!
ここで池袋と福岡で起きてしまった悲劇を振り返ると、前者は2つの交差点で次々に歩行者らをはね、最後はゴミ回収車をなぎ倒す猛スピード暴走し、後者は警察等の検証により事故発生時、87km/hもの速度へ達していたことがわかっています。
前述したとおり、プリウスミサイルで車両が急発進しても、それほどのスピードを出すには、ミサイル発射後にアクセルを「全開」で踏み続ける必要があります。
また、渋谷死亡事故の加害者が主張する、アクセルが戻らない不具合が仮に起きていたとしても、全力でブレーキを利かせ車速を落とし、ガードレールなどの障害物にわざとぶつければ、被害を最小限に食い止めることが可能だったはず。
そして今、ボコボコにバッシングされているプリウスの場合、ブレーキを踏むとアクセル操作をキャンセルする、「ブレーキオーバーライド」が初代モデルから採用されているため、致命的故障の同時発生というレアすぎるケースを除き、決して暴走しません。
一方、プリウスミサイル発生で気が動転し、ブレーキとアクセルを踏み間違えたうえ、高齢ドライバーだったため回避操作も間に合わなかった、という指摘には一理あります。
しかし、記事を執筆するにあたり安全を配慮したうえで、プリウスミサイルをわざと発生させてみたところ、想像以上の急発進に慌て「ブレーキ」を即座に踏みしめましたが、おそらく多くのドライバーが筆者と同じ行動をとるはずです。
使用した車種はプリウスではなく知人のアクア、ブレーキを踏みたい衝動を極限まで我慢し、アクセルを離すだけの状況にもチャレンジしましたが、とても暴走と呼べるほどのスピードは出ず、歩行者に見立てたコーンを安全にパスすることも可能でした。
ちなみに、この時の最高速度は15〜17km/hあたり誰でも多少ビックリするでしょうが、この速度帯で前後不覚に陥りアクセルを踏み続け、併せてブレーキを一切使用せず回避できない速度に至ってしまうのは、完全に「異常運転」と言わざるを得ない。
車種に関わらず運転していると、死角から子供が飛び出してきたり、前方を走行する他車が急停止したりと、ドライバーが動揺しかねない突発的なトラブルは日常的に起こり、今回取り上げた「プリウスミサイル」も、その1つに過ぎません。
「危ない!」と感じたらブレーキを踏む…、これって「運転技術の優越」なんてレベルではなく、歩行者・自転車や他の車両はもちろん、自分自身を守るため無意識に取る行動で、プリウスミサイル発生程度でブレーキを怠る方は、「即座に運転を止めるべき」です。
また、周囲に「ブレーキを踏むのが遅い」と感じる方がおられる場合は注意喚起したり、加齢に伴う身体能力の衰えが顕著な方には、心を鬼にして免許返納を勧めたほうが良い、と当サイトでは考えています。
【必読】プリウスミサイルを阻止する対策パーツが登場!
50プリウスの急発進事故やアクセルブレーキ踏み間違い事故はニュースやSNSで多く見られます。
— NOBLESSE (ノブレッセ) (@noblesse_japan) September 10, 2019
ある日、アクセルブレーキ踏み間違いをする夢を見てしまい、この商品を作るキッカケになりました。
詳しい内容はYouTubeを見ると分かります!https://t.co/2txXy398Vu
これで事故が少しでも減るといいな
プリウスミサイル(急発進・誤発進)を防ぐカーパーツが、ドレスアップメーカーの「NOBLESSE」(ノブレッセ)さんから発売されました。
商品名は、
【50系プリウス用 アクセル・ブレーキ踏み間違い防止機能付 エコグライダーGT+】
***** 特 徴 *****●グライダーモード機能搭載
ガソリンを使用しない疑似ニュートラル状態を作り、安全にグライダー走行(滑空走行)することで
更なる低燃費をはかる機能です。(エコグライダー機能)
●ニュートラル状態でアクセルを踏んでいて、そのままドライブに入れてもロケットスタートにならな
い安全機能知らずにニュートラルへ入ってしまい、アクセルONで進まない事でアクセルをより強く踏
んでしまいアクセル全開のままドライブに入れてしまうので、急発進をして事故が起きる事に対する
防止策です。(特許出願中)
●アクセルを全開にすると強制的にアクセルをOFFにする機能
アクセルとブレーキを踏み間違いする場合、ブレーキが効かないと勘違いをしているので、もっと強く
ブレーキ(アクセル)を踏もうとしています。
多くの暴走はそのアクセルとブレーキを踏み間違ってアクセルを全開にしているからです。
そこで、アクセル全開をした時にアクセルOFF状態にする事で、そのまま加速を続けて暴走する事を防
ぎます。
日本の道路で安全な走行をする場合、アクセル全開にする機会はほぼ無しと考えます。
アクセル全開の少し手前の状態でも、かなり力強く加速するので、
アクセル全開ができなくなっても不便に感じる事はないと考えています。(安全を優先)
●アクセルとブレーキ同時に踏んだ際にアクセルを無効にする機能
アクセルとブレーキを同時に踏んだ時に安全の為、アクセルを無効とし、ブレーキを優先される安全対
策です。
●バック時、時速5km/hから加速できない機能
バック時の暴走を防止する為の安全対策です。
引用:NOBLESSE
これ本当にすごいパーツだと思いませんか?
トヨタの純正パーツとして採用してほしいくらいです。
プリウスを乗っている家族がいる、もしくは自分がプリウスに乗っているという方にはぜひ装着をしていただきたい。
値段は、38,000円(税抜)ですが決して高くはないです。なんせ、このパーツひとつで事故を抑制できる可能性が上がる上に、大げさにいれば尊い命を守ることが出来るからです。
それを考えればこの金額は全然高くないと思います。
ドライブレコーダーを買うより、プリウスに乗っている方はこっちを先に装着してほしいです(笑)
まだ、最新の50系プリウス対応品しか発売されておりませんが、これから旧型式に対応するバージョンも発売されることを楽しみにしております。
⇒「50系プリウス用アクセル・ブレーキ踏み間違い防止機能付エコグライダーGT+」商品詳細はコチラ