壊れにくい中古車の選び方

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プロ直伝!壊れにくい中古車の選び方教えます。

どの車がいいか分からない画像

 

新車より格段にリーズナブルな価格で購入できる中古車は、運転に不慣れな新米ドライバー用やセカンドカー、通勤・通学・買い物の足にうってつけですが、いくら安く買えてもすぐに故障しては困りもの。

 

しかし、中古車は購入時どれだけ吟味を重ね慎重に選んでも、その後まめにメンテナンスを実施してもある日突然故障し、大きな修理コストがかかってしまう可能性があるので厄介です。

 

そこで今回は、故障しにくい中古車とはどんな車なのか、誰でもすぐにチェックできる基本ポイントはもちろん、「元整備士&査定士」である筆者が購入時実際に行う、「プロ仕様」の中古車選択術を読者の皆さんだけに直伝いたします。

 

 

耳にタコ?中古車選びはお店選びから

カーディーラーの画像

 

中古車は一点ものでこの世に同じ車体は1台もなく、年間250万台近く流通している中からどの車を買い付け、どんな整備を施したうえでいくらで売るか販売店が決めるため、中古車の状態はすべて「店次第」です。

 

とはいえ、どの販売店が故障しにくい中古車を選んでしっかり整備し、良心的な価格で販売しているかなんて一般ユーザーにはわかりませんから、誰でも実践可能な「店選びのコツ」を3つお伝えしておきましょう。

 

1、大手販売点を選ぶ。

ごく初心者向けながらT-UPなどのディーラー系や、ビッグモーター・ガリバー辺りの「大手中古車チェーン」を選ぶことで、こういった販売店では修復歴のある中古車を原則販売していないほか、条件を満たせば保証もついてくるため安心です。

 

2、「指定工場」がある販売店を選ぶ。

仮に規模が小さい町の中古車販売店であっても、「指定工場」の看板を掲げている店であれば選択肢に入れて問題なく、分解を伴う車検整備をローコストに自前でできるため、程度の良い中古車を大手より安く販売している販売店もあります。

 

ただし、よく似た「認証工場」という認可を得ている販売店もありますが、こちらの場合は最終的に指定工場に車検を外注する必要があるため、程度はともかくお買い得感では指定工場を有する販売店と比べると、一歩見劣りします。

 

3、馴染みの店を選ぶ。

長年付き合ってきた信頼できる中古車屋さんがあるなら、そこにお任せするのも手で、下手に素人考えでバタバタするより手っ取り早く、大手チェーンより親切に購入後のメンテナンス方法などのアドバイスを受けることもできます。

 

また、すべての販売店に共通する「見極めポイント」として、実際に意中の中古車を見に行った時、どなたもエンジンをかけてもらい状態を確認すると思いますが、その際一発でスムーズにエンジンが始動しなかったお店からは、とっとと退散したほうが無難です。

 

基本的に自動車は、走行中のエネルギーを利用してオルタネーターで発電した電力をバッテリーに蓄え、エンジン再始動時に利用するのですが、店に並んでいる中古車は当然長時間走行することがないため、すぐバッテリーが上がってしまいます。

 

そこで、中古車店はいつお客さんが来ても状態確認できるよう、毎朝1台1台エンジンを始動させ数十分かけっぱなしにするのですが、燃料が切れると携行缶でイチイチ給油もしなくてはならないため、これがなかなか大変な作業。

 

数十台規模で在庫している大型店場合は、この作業と洗車だけで半日終わってしまうこともザラですが、数台しか在庫していないのにエンジンがすぐかからない中古車がある店は失格。

 

エンジンを頻繁に回しておかないと、お客さんの要望に応えられないだけではなく、発電・蓄電系統に不具合が発生するリスクが高まるため、車両管理がなってない「ダメダメ店」というレッテルを貼っちゃってOKです。

 

たくさん走っている車種が狙い目!

プリウスの画像

 

故障しにくい車は、車検や修理コストがあまりかからない車と「イコール」であるため、新車販売から長年にわたり現役で活躍していますから、日頃よく目にする車種がそのまま故障しにくい中古車です。

 

メーカーで言えば、普通車ならやはり「トヨタ車」がダントツに長寿命で、流通台数が多いためリーズナブルなリビルト品が多数出回っているほか、構造的によい意味でシンプルなので整備しやすく、故障や車検時の部品代と工賃を安く抑えることができるからです。

 

唯一、低年式のプリウスだけはハイブリットシステムに故障が発生すると、修理コストがかさむため注意が必要ながら、故障しにくい普通車を購入したいのであれば、正直「トヨタ車一択」でもいいと言えるほど高品質です。

 

軽自動車はどのメーカーも横並び状態ですが、トヨタ傘下のダイハツ車は比較的不具合が少ないというデータ(※)があるほか、ジムニーやパジェロ・ミニといった軽SUVは、車検検査対象である足回りが非常に丈夫なため維持コストが安めで長寿命。
※米国JD power社「日本自動車耐久品質調査」による

 

また、年式が新しめの場合は問題ありませんが、低年式の軽自動車はNAよりターボの方が故障しやすい傾向にあり、オイル管理状況が悪かった中古車ほど、車種問わず不具合が発生するリスクが高くなってきます。

 

加えて今巷で多く走っている車種は、故障及び寿命時の交換コストが高額になるタイミングベルト車ではなく、原則交換不要のタイミングチェーン車が多いため、買いたい車種を決めたら、どちらが採用されているか事前にネットでリサーチしておきましょう。

 

ちなみに、筆者は以前13年落ちの初代パジェロ・ミニを、わずか8万円で購入し6年間乗り続けましたが、30万kmを突破してもバリバリ元気(表現古っ!)で、メンテナンスはそれなりに手をかけたものの、その間大きな故障は全くありませんでした。

 

2度受けたユーザー車検も部品交換ナシで難なく合格したうえ、最終的には知り合いの車屋から「状態が良いから代車用に譲って?」と切り出されたため、3万円で売ってしまいましたが後日調子はどうか尋ねたところ、安い中古車を探していた顧客に転売したのだとか。

 

もちろん、元整備士であることを活かし念入りな車体チェックによって、オイル管理状況などを判断できたため筆者の愛車は長持ちしたわけですが、その秘訣を知りたいのであれば「最後まで見逃しちゃダメ!」ってことです。

 

レッド系のカラーリングは避けるべし!

レッド系のカラーリングの車の画像

 

中古車を買う際の楽しみのひとつと言えるボディカラーの選択ですが、長年にわたってコストをかけず気持ちよく乗り続けたいのであれば、避けるべきカラーリングが存在します。

 

それはレッド系で、ホワイトは水垢が目立ちブラックは小キズが気になる弱点があるものの、正しくマメな洗車を心がけさえすればコストをかけずに、発色の良い状態をキープ可能ですが、レッド系は紫外線の影響で退色しやすく、化学的現象なので防ぐ手段がない。

 

放置すると次第に朱色っぽくなり、最終的に塗装ハゲハゲの見るも無残な姿へ変わってしまい、復旧するには費用がかさむ全塗装しか手がなくなるため、年式が古めの中古車ほどレッド系は避けるべきと考えています。

 

車検が残っている中古車は極力選ばない!

 

商品化するうえでの整備コストや上乗せする利益は、前述したとおり中古車店が自由自在に決めることができるものの、どんな業者でもクリアしないと販売できないのが、「車検」という公道上での走行を許可する制度です。

 

中古車市場には、車検の期限が残っている出物も多く存在し、実際にお客さんとやり取りする中で「車検がいっぱい残っている中古車はない?」と、聞かれることも多々ありました。

 

筆者はそんな時、決まって「車検付きの中古車の方が安心です」と切り返していましたが、「そんなこと言って諸費用で儲けようとしてるんだろ!」と、怒り出すお客さんもいました。

 

当時は笑っていなしつつ、「お客様のご要望」にお応えしていましたが、現場を離れた今は一切遠慮もいらないのではっきり言うなら、「車検が残ってる在庫車が早く出払えばしめたもの」というのが、中古車店セールスマンの本音です。

 

通常、車検が残っている車体が下取りや買取で入庫した場合、一旦一時抹消して残月分の重量税と自賠責保険の還付金を受け取り、売れた際に改めて車検に通すのがセオリー。

 

なぜなら、車検は在庫期間が長くなるとドンドン残りが短くなり、得られる税金等の還付金が目減りするため、継続しておくメリットが中古車店にほとんどないからです。

 

にもかかわらず、車検が残った状態で在庫している中古車は、再度車検を受ける際に規定をクリアするため交換や整備が必要な箇所が多く、商品化するのにコストがかさむから「あえて放置」している可能性が高いのです。

 

重量税が安く併せて消耗品もリーズナブルなため、継続車検にそれほどコストがかからない軽自動車で1年以上車検が残っている場合は、そのままセールスポイントとして販売する店もありますが、普通車特に大型車種になるほどOUT。

 

いずれにしても、すべての中古車店に共通する唯一無二の基準である、車検が残っている中古車は故障しやすく、加えて次回車検時に大きなコストが発生する「地雷中古車」であることが多いため、購入候補から外した方が無難です。

 

走行距離が少ない=故障しにくい訳ではない!

走行距離の画像

 

素人に毛が生えた程度の浅い知識と経験しかないのか、多くの方が自身のサイトやコラムの中で「10年・10万kmが車の寿命」なんて持論を展開していますが、元本職に言わせればそんな情報こそとっくに寿命を迎えています。

 

現在販売されている車は、消耗品の適時交換と基本メンテナンスさえ怠らなければ、余裕で15〜20年以上乗り続けられますが、何より問題なのが新車からの経過年数と、走行距離の関係性を全く理解していないにも関わらず、あやふやな情報を垂れ流していることです。

 

こういった類のサイトでは、総じて「走行距離が短ければ故障しにくい」と主張していますが、同じ10年落ちの車体であれば3万kmしか走行していない中古車の方が、10万km走行している中古車より、断然「故障しやすい」傾向にあるのが真実です。

 

常に動いていることを前提に設計・製造される自動車は、動いていない状態が長いほど癒着による故障が発生しやすく、目安的には1年あたり「8,000〜1万km程度」が適正値で、10年で3万kmしか走っていない中古車なんて、正直言って筆者は絶対に購入しません。

 

これだけは抑えてほしい車体のチェックポイント

 

最後に、素人でも比較的簡単に確認できる壊れにくい中古車のチェックポイントを整理しますが、おそらく多くのユーザーが最も気にしているのは、将来的に大きなトラブルが発生しかねない「修復歴」でしょう。

 

一般ユーザーは、「事故車=修復歴」とよく誤解していますがそうではなく、大きくボディーがへこんでもドアやボンネットが交換されていたとしても、即故障に繋がったり安全走行に支障が出ることは少ないため、中古車店にその事実を明記する義務はありません。

 

修復歴とは、車体の骨格までダメージが及びそれを「修復した履歴」があることを指し、プロならその有無をすぐ判断できない場合は「失格」ですが、素人の場合は前述した「店選びのコツ」さえ抑えておけば、そこまで気にする必要はありません。

 

なぜなら、修復歴はハンドルが取られるなどといった症状があるか否かや、保証期間が過ぎているといった条件に関わらず、販売店が故意であろうがなかろうが一般ユーザーが知らずに購入した場合、民法によって契約を取り消すことを認められているからです。

 

それよりチェックして欲しいのは以下で示す「5つ」のポイントとなり、加えて営業マンが「しつこいな」と思うほどのヒヤリングと試乗をすれば、すぐに故障する中古車を購入し後悔する確率は、グンと下がると考えています。

 

1.点検記録簿の有無と記載内容

 

車検時に実施する法定24ヶ月点検、及び12ヶ月点検の際に工場が整備内容を記載する書類ですが、発行することを義務付けされているわけではなく紛失した可能性もあるうえ、「無いから故障しやすい」とは言えません。

ただ、存在する場合は記載内容によって過去の整備歴や、ブレーキパットなどの消耗品の次回交換タイミングなどを判断できるため、点検記録簿がある中古車を選ぶのがベストで、内容がチンプンカンプンな時は担当者へ質問攻めしましょう。

 

2.エンジンオイルの管理状況

エンジンオイルの画像

 

エンジンオイル管理、つまりどの程度の頻度でオイル交換されてきたか否かは、車の心臓であるエンジンが故障しやすいかどうかを大きく左右する、「最重要チェックポイント」です。

 

オイル管理さえしっかりされていれば、エンジンは20万kmでも30万kmでも元気に動いてくれますが、交換履歴を記した「愛車カルテ」のような書類でもない限り、素人では見極めるのは難しいものの、プロはオイル管理状態を見抜いてしまいます。

 

手順はかんたん「3ステップ」、1つ目はエンジンをかけ暖気したにもかかわらず、いつまでもマフラーから濃い白煙が上がる時で、この場合シリンダーがオイル不足で摩耗しているかヘッド部のシールに漏れが生じ、オイルが燃料と一緒に燃えている可能性があります。

 

ちなみに、購入時期が冬場なら極めて薄い白煙が出る場合もありますが、それは「水蒸気」なのでで問題視する必要はありません。

 

次にエンジンを切ったうえでボンネットを開け、オイル量を確認する「レベルゲージ」を引っこ抜いて、「オイル焼け」が発生していないか確認してください。

 

長期間オイルを交換していない場合、レベルゲージにオイルが沈着してこげ茶色に焼き付き、少々ウェスで拭いても取れないほどこびり付いている場合は、購入を控えたほうが良いでしょう。

 

ただし、専用洗剤を使って念入りに擦ればレベルゲージの焼き付きは取れてしまい、小賢しい業者はごまかしてしまうこともあるので、ここでダメ押しとばかりに「3つ目」を繰り出してやりましょう。

 

通常エンジン上部に付いている、「オイルフィラーキャップ(注入口)」を開けのぞき込み、エンジン内部がキレイだったら晴れて「合格」。

 

長期間オイル交換されていないと、内部はもちろんキャップにも汚れがビッシリこびり付きますが、キャップはともかく内部を洗浄するにはヘッドカバーを開ける必要があるため、そこまではさすがにしない販売店がほとんど。

 

この、かんたん3ステップを実施すればオイル管理状況の判別だけではなく、「油断できない詳しい客だ!」と営業マンに思わせることもできるため、車両状態のヒアリングがスムーズになるメリットもあります。

 

3.カーエアコンの効き具合い

カーエアコンの画像

 

走行自体に支障はないものの温暖化が顕著な今、真夏エアコのが効かない中古車になんて誰も乗りたくないものですが、故障した場合は修理代が非常に高額なので、購入時しっかりチェックしておくべき装備の代表格です。

 

夏場であれば冷えを確認することも簡単ですが、冬場はわかりつらいので最低限やってほしいのが、エアコンのスイッチをOFFからONに数回切り替え、ONに入れた際「カチッ」という小さな作動音とともに、アイドリングが上昇するかのチェック。

 

車のエアコンガスは、数年で自然に抜け冷えが悪くなりますが、「カチッ」というさえ音がすれば臓部であるコンプレッサーが正常に作動しているため、もしガスが不足していたとしても数千円出してガスを補充することで、よく冷えた車で快適にドライブできます。

 

4.車体内外のサビ&シートベルトの変色

 

先ほど、修復歴については販売店に明記する義務があるため、それほど気にしなくて良いと述べましたが、近年の豪雨被害で増加傾向である水没車(冠水車)に関しては、法律で明記する義務が定められていないため、残念ながら市場の中に「多数」紛れ込んでいます。

 

エンジンまで水に浸かった場合は再起不能であるケースも多いですが、程度が軽い時は修理が施され市場に出回り、購入時全く問題なくても電気系を中心に故障が発生しやすいのみならず、カビや嫌な臭いの原因になるなど、衛生的にも問題が出てきます。

 

最も簡単な見分け方は車体をくまなくチェックして、サビがないかチェックすることですが、水没車は非常に安価で仕入れられるため、手間と時間をかけ板金・塗装でサビを隠し、「相場なり」の値段で販売・荒稼ぎする悪質業者も存在します。

 

その他、フロアのシミ・ヘッドライトの水滴・エアコンからの異臭など、水没車見極めのポイントを並べることはできますが、プロの手にかかれば簡単にごまかせるので、誰でも10秒で水没車かどうか判別できる、とっておきの「極意」があるので伝授しましょう。

 

方法はいたって簡単、シートベルトを最後まで引き出し隠れていた部分に茶色い汚れや大きな変色がある場合は、「水没車」である可能性が極めて高い。

 

本来、シートベルトは常に出ている部分に汚れや変色が発生しやすく、隠れている部分にそれがあるなんて「異常」以外の何物でもなく、特に変色は材質的にプロでも復旧することが困難なので、水没車である「決定的証拠」になります。

 

5.ボンネット内部からの異音

 

エンジンがかかっていれば、ボンネットから大なり小なり音がするのは当たり前ですが、ここで言う「異音」とはエンジン始動時に発生したより、回転数が上がるにつれドンドン大きくなっていく音を指します。

 

お正月に遊ぶ(最近少ないか…)「コマ」を想像してもらうとわかりやすいですが、車のエンジンは始動時最も激しく振動するため大きな音が発生し、回転数が上がっていくにつれ振動が弱まり発生音が小さくなるものです。

 

種類に関わらず、エンジンをふかしても変化しない場合は(排気音を除く)、あまり大きな不具合を抱えていませんが、ドンドン激しくなる「異音」はエンジンに致命的不具合が発生している可能性が高いため、購入を控えたほうが良いでしょう。

 

まとめ

 

以前は、メーターを改ざんして走行距離をごまかしたり、修復歴の告知義務を無視する悪徳業者も少なからず存在しましたが、今では自然淘汰されほぼ絶滅したのに加え車自体の耐久性も向上したため、近年ではすぐに故障する中古車はずいぶん減ってきました。

 

それでも、絶対に故障しない車は1台も存在しませんが、今回解説した基本ポイントと極意を実践すれば、故障しにくいコスパ最高の中古車と巡り合える確率がグンとUPするので、何度も読み返しつつ是非マスターしてください。

 

 

実際にあなたが車を売る際の参考にしていただけると幸いです↓↓
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