離婚後に父親が親権者になるため押さえておきたいポイント
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: 最終更新日:2018/06/21:
【弁護士と探偵の活用方法】離婚前に知っておきたい知識・準備編~

離婚することになった場合、大きな問題になるのが親権の行方です。可愛い我が子とは離れられないという理由から親権を希望する父親は多いのですが、実際の親権者決定は母親になるケースがほとんどです。しかし、離婚の原因が妻の浮気や家事放棄など母親側にあったり、子供の世話が満足にできない母親だった場合、父親として安心して子供を任せることはできません。
そこで今回は、親権に関する基本的な知識を踏まえ、父親が親権を得るための方法や押さえておきたいポイントを詳しく解説していきます。
もくじ
1.【離婚時の親権】母親が有利とされる3つの理由
2.親権をとるのに必要なのは、育児に適した環境や絆の深さ
3.離婚時に発生しがちな親権トラブルの事例と対処法
4.【妻の浮気で離婚】証拠があると親権者の決定は父親が有利に
5.養育費の請求は?父親が親権者なら支払い義務は母親にある
6.離婚時に定めた親権を公正証書にする手順とメリット
7.もくじ
【離婚時の親権】母親が有利とされる3つの理由
そもそも親権とは、未成年の子供を監督保護のために認められた様々な権利のことです。基本的には親権を持っている親と一緒に暮らすことが多いですが、親権を持つ親と実際に養育する親が別々のケースもあります。
親権者に母親が有利な理由
夫婦が離婚すると、子供が幼ければ幼いほど基本的には母親が親権を獲得することになります。その理由は下記の通りです。
母親が親権を得られやすい大きな理由は、子供の世話は誕生時から母親が担っていることが多く、母子の結びつきが非常に強いことにあります。子供にとって母親は誰よりも安心できる必要不可欠な存在。そのため、離婚によって母子を引き離す事は子どもの心理的に適切ではないと判断されるケースが多いのです。
その観点から判断すると、父親は仕事をしている時間が長いため、子供の世話を満足にできなかったり、子供との時間が取りにくい可能性があるという点で不利になってしまいがちなのです。
親権をとるのに必要なのは、育児に適した環境や絆の深さ
母親が親権者に相応しいケースが多いとはいっても、全ての夫婦が該当するとは限りません。親権は、子供にとってどちらの親と暮らすのが最良かが最優先で考えられるため、母親ではなく父親の方が相応しいと判断されることもあります。
では、父親に親権が認められるケースを紹介します。
母親による虐待や育児放棄が確認されたり、父親が日常的に子供を養育してきた実績があるケースでは父親に親権が認められています。ほかにも、父親は経済面でサポートし、父方の祖父母が子供の世話をする環境が整えられているケースも同様です。
これらのように、母親と暮らすことで子供が劣悪な養育環境に置かれる場合は、親権者の決定は父親の方が圧倒的に有利になります。
父親が親権者になるためのポイント
基本的な親権の判断は現状維持の原則が大きく影響します。これは、離婚によって転校や引っ越し、兄弟姉妹との別れなど環境の変化を子供に強いるのは避けるべきという考え方があるからです。そのため、離婚後も父親が今まで住んでいた家に住み続ける場合は、現状維持の原則が認められやすいので親権獲得の可能性が高まります。
これ以外にも、父親が親権を得るために押さえておくべきポイントがあります。具体的にはどのようなことなのか、以下で詳しく紹介します。
子供には健全で自分らしく生きる権利があります。そのため、子供にとって良い環境を整えることは親権者になる上で押さえるべき大きなポイントです。つまり、子供が安心して暮らせる場所や、経済的な余裕があることが重要なのです。また、仕事を早めに切り上げて帰宅できる職場の環境や、子供の祖父母と同居することで父親不在の時間帯も子供に寂しい思いをさせない環境を整えておくことも大切です。
どうしても仕事が忙しくて子供との時間が取れない場合は、塾や習い事に通わせて子供と自分の帰宅時間を合わせるなど経済力を活かせば対処できます。また、親権は子供の意思が尊重されることも多いので、日頃から子供とのコミュニケーションを密に計り、子供が父親と暮らしたいと思う関係性を高めておくことも重要です。
離婚時に発生しがちな親権トラブルの事例と対処法
父親が親権の獲得に乗り出すと、母親も親権を得ようとしてトラブルになることが少なくありません。実際に夫婦間で起きた親権トラブルの事例と対処法を紹介します。
トラブル1
【概要】話し合いの末、「居住場所が見つかり次第、離婚後は家を出ていく」と妻が言うので「それまでの間は住んでも構わない」と伝えた後、親権欄が空白の離婚届に署名押印をした。妻とは調停で離婚手続きを進めていたが、親権欄に母親の名前を記入した離婚届が勝手に提出されていた。
トラブル2
【概要】妻の浮気が原因で離婚調停中。その間、妻は浮気相手と同居していたため、子供と二人で別居生活をしていたが、仕事帰りに保育園に子供を迎えに行くと先回りした妻が保育園から無断で子供を連れ去っていた。
トラブル3
【概要】離婚裁判中、妻と一緒に別居していた子供の様子が一変した。これまでは妻よりも父親である自分の方に懐いていたが、DVなど虚偽の事実を告げられてしまい、親権者になることを子供から拒否された。
上記のように、親権者を自分にした上で母親が勝手に離婚届を提出したり、子供を無断で連れ去ってしまったり、父親が不利になる虚偽の発言をするなど親権を巡るトラブルは多く発生しています。
親権トラブルを防ぐ1つの方法として、離婚届不受理申出を行いましょう。これは、離婚届が勝手に受理されないよう市区町村の役場に申し出ておく制度です。この手続きをしておけば、離婚届を提出されても役所が受理してしまうことを防ぐことができます。
保育園などからの子供の連れ去りは、事情を園側に伝えておいたり、IDなどでセキュリティー管理されている園を選ぶと安心です。保育時間外には子供を屋外で一人で遊ばせない、またはGPS機能付きの子どもケータイを持たせるなど、子供の居場所を把握できるようにすることで対処できます。
また、離婚の話し合いをする時は周囲の目がある場所や第三者を交えて行ったり、動画や音声などで話し合いの様子を残しておけば、虚偽の発言をされても正式な場で反論することができます。
離婚届を提出する時の注意点
離婚届は提出の段階で親権者が決まっていないと受理されません。つまり、両親どちらも親権者になることを主張し続けるといつまで経っても離婚は成立しません。そのため、親権者はとりあえず母親にして離婚届を提出しておき、後の話し合いで親権を取り戻すという考え方もあります。しかし、これは大きなトラブルになるため得策ではありません。理由は、親権を離婚後に変更するのは不可能ではありませんが容易ではないからです。
親権者の変更は離婚同様に多くの時間と労力、複雑な手続きが必要で無事に完了するまで何年もかかります。そのため、離婚届の提出はくれぐれも慎重に行いましょう。
話し合いでは決まらないとき
父親が親権を獲得することは決して無理ではありませんが、話し合いで決着がつかない場合は調停や離婚訴訟で家庭裁判所が親権を決定することになります。その際は、子供にとって良い環境を自分が提供できることを明確にアピールすることが重要です。家裁の判断は父親と子供の関係性も重視されます。日頃から、積極的に育児に携わったり一緒に遊んで子供との絆を深めておきましょう。
【妻の浮気で離婚】証拠があると親権者の決定は父親が有利に
妻が浮気をしていた場合、「離婚の原因は妻なのだから親権は父親である自分に決定だ」と思われがちですが、実は離婚原因と親権は直接関係ありません。つまり、母親側に離婚の原因があっても、子供にとって母親の方が親権者に相応しいと判断されれば親権者は母親になるのです。
ただし、離婚に至る原因が妻の浮気だった場合は判断が違ってきます。離婚後も再び浮気に走る可能性があると判断されると、子供にとって良い環境を維持できるとは言えないことから父親に親権が認められやすくなるのです。そのため、妻が浮気をしている可能性があれば浮気の証拠をしっかり確保しておきましょう。浮気の証拠とは下記のようなものが該当します。
画像や動画、音声データ、SNSやメールのほかにも、個人的に記録している日記やメモ、信頼できる友人知人による証言、浮気をしていた場所の領収書やクレジットカードの明細書なども浮気の証拠として認められます。ただし、注意すべき点があります。写真や動画は妻と浮気相手の顔が認識できるものではないと、浮気の証拠としては認められません。
撮影時間が夜間の場合、周囲が暗いので顔まで鮮明に撮影することは容易ではなく、接近すると二人に気付かれ失敗してしまいます。妻に浮気の可能性がある場合は、確実な証拠を得る方法として探偵の浮気調査を検討しましょう。探偵が扱う案件は浮気調査が最も多く、調査ノウハウや特殊機材を駆使するので確実な証拠を掴むことが出来ます。
探偵で調査した浮気の確証があれば、浮気の事実を母親に突き付けて親権を諦めさせたり、裁判所に証拠を提出すれば親権者の判断は父親が断然有利になります。
養育費の請求は?父親が親権者なら支払い義務は母親にある
父親に親権が認められると必要になってくるのが、一人で子供を養育するために費用です。親権が母親に渡っている場合は、父親から養育費が支払われるのが一般的ですが、父親が養育する場合も母親に養育費を請求できるのでしょうか。ここでは、父親が親権者になった際に必要となるお金にまつわる話をします。
養育費はもらえるか?
結論から言うと、親権者となった父親が母親に養育費を請求することは可能です。養育費は子供の健やかな生活の継続と成長するために必要なお金なので、両親が離婚したとしても親として支払う責任があるのです。
ただし、養育費が減額されるケースもあります。該当例は以下の通りです。
母親が体調を崩して仕事をセーブしていたり、入院や失業した場合などは収入が減ってしまうので、家庭裁判所の判断で養育費が減額されます。また、母親が再婚して扶養家族が増えた場合や、再婚して子供が再婚相手の養子になった場合も減額の対象となります。
ここで注意すべきなのは、養育費の減額は可能であっても支払い義務はなくならないという事です。つまり、離婚後に再婚しても養育費の支払い義務が完全になくなる訳ではないので、特別な理由なく未払いが生じるようになった場合は、強制執行として給与や財産の差押えなどを検討することが可能です。
離婚時に定めた親権を公正証書にする手順とメリット
調停や裁判で親権が認められた結果は調書に記録されますが、夫婦の話し合いのみで決定した場合は、口約束だけのような状態なのでトラブルにならないよう必ず公正証書を残しましょう。公正証書は公証人が作成する文書なので、公的に認められる信憑性が高い文書です。
公正証書を作成する方法
公正証書の作成は特に難しくはありません。決定事項を正式な文書にする公正証書作成の手順は以下の通りです。
- 必要書類などを準備
- 公証人と面談
- 公正証書の原案を確認
- 公正証書の原本に捺印
作成前に準備するものとしては、公正証書にしたい内容をまとめた下書き文書や、印鑑証明書と実印、身分を証明するための運転免許証・パスポート・顔写真付きマイナンバーカードのいずれかと認印です。ちなみに、弁護士など代理人に公正証書作成を依頼することも可能です。
公証役場で受付をしたら身分確認を済ませた後に、公正証書にする内容を聴取されます。この際、記載したい内容の下書きがあると聴取を円滑に行うことができ、不備や不足箇所があれば加筆・修正してくれます。公正証書にする内容は事前にファックスで下書きを送付しておくことも可能なので、前もって準備しておけば聴取がよりスムーズになります。
聴取後は公証人によって公正証書が作成されます。実際に作成されるのは原本・正本・謄本の三種類です。完成した文書を確認し、署名捺印したら手続きはすべて完了です。
親権結果を公正証書にするメリット
公正証書にしておけば親権者が父親に決定したことが正式に証明されます。これによって先に述べた親権トラブルなどを抑制する効果もあるので、夫婦の話し合いで合意に至った場合は忘れず作成しましょう。
ちなみに、公正証書で証明できるのは親権だけでなく、離婚に関するすべての決定事項が対象なので養育費や財産分与、慰謝料などの金額や支払い方法、期間まで併せて記載しておきましょう。
まとめ
親権は、「子供の健やかな成長と安全」が最も重視されて決まります。そのため、どんなに親権を希望しても子供にとって健全でない環境下では、親権が認められる可能性は極めて低くなります。親権者になるためには、自分が提供できる環境が子供にとってベストなのかどうかを冷静に考えてみましょう。
次の記事では、離婚を考えている男性に向けて親権や財産分与についてなどを詳しく紹介しています。ぜひ、参考になさってください。












