現役時代に使用していた名刺だが定年後、多くのシニアは使用しなくなる。
持っていても住所、氏名、電話・ケータイ番号、メルアドだけを表示したものが多く、名刺交換しても本人がどんな人かわからず、会話に困った経験がある方も多い。
そこで、シニアに名刺は必要か、必要ならどんな内容が良いか、77歳、現役で活動する筆者が提案する。

名刺は定年後のシニアの自己紹介手段として必要性である
今のシニアは昔と違い、元気で仕事、社会貢献、学習、趣味など多方面で活躍しており、自己紹介の場も多い。
筆者も講演やパーティなどのイベントに参加し、多くのシニアと出会う。
会話が弾み、面会後に再会したいと思っても、名刺がないと連絡が取れずに終わる。
そんな経験からシニアにも名刺の必要性を感じている。
シニアの名刺はビジネス時代に使用する会社名や役職などを表示するものとは違い、初対面の相手に自己紹介できるものがよい。
女性同士なら初対面でも、食、趣味、テレビなどの話題があればすぐ親しくなれ、メルアドの交換もできるが、競争社会で生きてきた男性シニアはそうはいかない。
初対面の人との会話も共通話題がなかなか見つからない。
終身雇用や年功序列社会での会社勤務の経験は知識や情報も偏り、話題も乏しいからだ。話す内容によっては自慢話になり、相手と関心や興味が合わなければ話が一方通行になる。
それを避けるには相手と共通話題が発見できる自己紹介ツールとしての名刺が役に立つ。

どんな内容の名刺が役に立つか
しかし、「元000教授、元000部長」などの役職歴を書けば過去の栄光を誇示するため避けたい。
シニアの名刺は過去の履歴ではなく、初対面の相手に自分のことを理解いただき、共感や興味を持っていただく内容が欲しい。
名刺を渡した相手がそれを見て、自分と共通する事柄や興味があれば、「同郷ですね。」「趣味が同じですね。」「この活動に興味があります。どんな活動ですか?」など、2人の会話が弾み、僅かな時間で親しくなることができる。
名刺交換ができれば、今後の連絡も取りやすい。

名刺に何を書くか、4つのことから強調したいことを選び盛り込む
では、シニアの名刺に何を書けばよいか。初対面の人が共感する4つを盛り込むことをお薦めする。
1.「経歴」は出身に関するもので、生まれ故郷、出身校、専攻分野などだ。故郷、出身校、専門が同じあると親しみを感じる。
2.「趣味、スポーツ、興味、取得資格」は、旅行やグルメなどの楽しみ、絵画、音楽鑑賞などの趣味、ゴルフ、ジョギングなどのスポーツ、今、興味を持っていること、資格は取得資格の内容などを書く。名刺交換した二人が共通の楽しみや興味が発見できれば話題が弾む。
3.「活動」は現在していることを具体的に書く。仕事、社会貢献、学習など、所属組織や活動内容も含めて書く。
4.「好きな言葉」は自分の生き方や大切にしている言葉で、シニアの付き合いでは大切だ。

強調したいことを選び、箇条書きに
名刺での表示はスペースが狭いのでこれらの中で特に大切なことを選び、箇条書きで端的に表現する。
場所は名刺の下欄などに数行に整理しで書く。
内容が多い場合は裏面を活用する方法もある。
顔写真を掲載すれば印象に残る。さらに、氏名の前には最も強調したいことを選んで書けば相手の目とまる。
シニアの名刺は自分の個性や特徴などアイデンテティを表現すれば初対面の相手と共通話題を生み出すコミュニケーションツールとして重要な役割を果たすため、ぜひ、自分独自の名刺を作成して欲しいと考える。

(日本元気シニア総研顧問 富田眞司)