シニアに善意で席を譲ったのに困った顔をされた経験がある方が多い。
一方で座りたくないのに席を譲られ返事に困ったシニアもいる。
77歳の筆者もそんな経験をした一人だ。
学校や社会では「シニアに席を譲る」ことを教えているが、健康なシニアが増え、すべてが座りたいとは思っていない。
若者が健康なシニアに善意で席を譲ればシニアは困惑する。
今、超高齢化社会で文句を言うシニアが増え、その対応が難しくなっている。
そこで、買い物など生活の場で起きるシニアへの対応で考慮すべきことを筆者のシニア目線を含めて提案する。

生活の場で起きるシニアへすべき5つの対応
1つ目は「シニアに席を譲ることへの対応」
 シニアに席を譲る前に「立っているシニアの様子や表情など」から席を譲るかどうかを判断する。
それが無理なら「席をお譲りしましょうか」と一声かければ、相手の気持ちを察することができ、厚意が伝わる。

2つ目は「トイレや休憩所の対応」
 疲れやすい、トイレが近いシニアには休憩所やトイレが近くにあると嬉しい。
場所が離れている場合は「トイレや休憩所マップ」作成や場所がわかるよう、「大きく見やすく表示」する。
最近、シニア向けに「健康、住まい、資産活用など」をテーマとした講演会が増えているが長時間講演は避け「トイレや休憩タイムを1時間に最低1回はとる。」
とトイレに行きたくなった時、中座しないで済む。

3つ目は「食事の対応」
 少量しか食べないシニアが多い。子供向けに「お子様ランチ」があるように、栄養バランスを考えた少なめの「シニアランチ」があると良い。
夜の飲み会での均一料金制の「飲み放題、食べ放題」で飲食量が少ないシニアと飲食量が多い若者と同じ料金では不公平感があるので、シニア料金があれば参加しやすくなる。

4つ目は「タッチパネルへの対応」
 スマホをはじめとするIT化が急速に進み、買い物や飲食の場でタッチパネルが普及し、「料金振込み」「指定席券購入」「飲食注文」などに導入されている。
保守的なシニアは簡単には使いこなせないため、「わかり易い使い方の説明表」や使い慣れるまで機械のそばに「担当者を配置し、使い方の手助け」があればシニアも使いやすくなる。IT化は今後急速に進化するため、シニアが取り残されないようにして欲しい。

5つ目は「売り場での対応」
 老化で認知機能や視力・聴力など体力が徐々に衰え、性格も環境変化に対応できにくくなる。
購入したい商品がいつもの陳列場所にないとシニアが困惑するため、売り場はあまり変えない。
売り場を変える際には、シニアにもよくわかるような工夫が欲しい。
価格表示はなるべく大きく読みやすくし、消費税込み価格で表示すると支払いが楽になる。また、シニアからの買い物相談された際は「メモを使って伝える」などの工夫が欲しい。さらに、シニア客へは若者言葉や短絡語を避け、「シニアにも理解できるやさしい言葉でゆっくり話す」など、シニアの心情によりそった対応が求められる。

シニアの「体力・知力・心情やシニア目線」にそった「やさしい対応」が求められる
 今後ますます人口が増加するシニア、一方でITも急速に進化する。
生活の場だけでなく、あらゆる場面でシニアへの対応が求められるが、シニアの体力・知力・心情やシニア目線にそったやさしい対応であって欲しい。

(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)