「お金にゆとりがあるものの、社会参加せず自宅に閉じこもる」シニアがいる。
筆者はこのシニアを「孤立在宅シニア」と名付けその特徴、消費性向の分析と攻略法を提案する。
シニアの総人口の1.5割程度で男性が多く占めると筆者は推定する。
1.特徴―外出せず自宅で過ごす、地域にも溶け込めない
特徴は定年後、外出せず自宅で過ごす、社会参加しても、現役時代の影響でつい上から目線で話をするなど、地域社会に溶け込めず、外出しなくなる。
夫の在宅が増えることで昼食の支度などのため在宅を余儀なくされる妻もいる。
多くの人は現役時代、企業で取締役、部長など役員や管理職として活躍、部下にしっかりと指導してきた経営や管理能力の高い人達だ。
外出するのは同窓会や親しい仲間との飲み会くらいだ。肉体的には健康だが在宅が多く、会話は夫婦中心となり他人との接触が少なく孤立するため、
精神的な不安が心配だ。活躍する場がなく、在宅生活が続けば認知症の予備軍にもなりかねない。
2.消費性向―中から上の暮らし、家の中での消費
保有資産や受給年金額も多く、中から上の暮らしをしている。
消費支出は平均より高く、消費性向は家の中での消費が中心になる。
趣味は家内や家の近くでできるものに偏る。情報収集はテレビ、新聞、宅配される広報誌や広告物からが多い。
テレビの視聴時間が長くBSや有料放送も見ている。
購入商品は在宅で楽しめる趣味関連商品や在宅生活を豊にする家具・機材や健康への心配から健康食品、健康器具への出費もある。
3.攻略法―
①「お宅消費を狙う」
②「在宅メディアを活用する」
③「知恵を出させ社会参加を促す」
攻略法は3つ。攻略法は①「お宅消費を狙う」、②「在宅メディアを活用する」、③「知恵を出させ社会参加を促す」の3つだ。
1つ目は「お宅消費を狙う」方法は在宅生活に関連する消費を狙うもので、高機能テレビ、高品質オーディオや機関車・自動車・航空機・戦艦などの手作り趣味、
ガーデニング、書籍、家具、文具や在宅生活を豊にするための増改築、マッサージ機や健康食品など健康関連対策商品が期待できる。
さらに、在宅で生じる大型ごみの処理の引き取りサービスや、一人住まいの場合、掃除、洗濯などの各種在宅代行サービスにもビジネスチャンスとなる。
2つ目の「在宅メディアを活用する」は在宅生活で孤立するため仲間が少なく口コミ活用は厳しいため、新聞やBSなどのマスメディアや宅配される広報誌や
フリーペーパーを活用することでコミュニケーションが可能になる。
中でも地域の情報を掲載した広報などのフリーペーパーやポスティングされる媒体を良く見るため、これらの媒体を活用することで在宅生活を刺激することができる。
3つ目の「知恵を出させ社会参加を狙う」は対象とする層は高い見識を持ち合わせており、提案したい、発言したいという潜在ニーズが高い。
そのニーズをうまく刺激し社会参加させるものだ。例えば地域や企業が困っている課題の解決に対し在宅メディアを活用して提案いただくことで、
地域や企業活動へ参加を促すことができ、外出させるきっかけづくりができる。
インターネット、電話、郵便など在宅でも参加できる相談やアイディア募集が可能になる。
現役時代に企業のために頑張ってきた人たちが地域に溶け込めず自宅で過ごすことは家族に大きなストレスを与え家庭不和の原因にもなる。
それが分からない夫こそ問題である。その解決方法は企業や公共団体が定年前にしっかりと定年後の生活や生き方をしっかり教える対策が望まれる。
(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)