「健康ではあるがお金が少し不足し、出費に工夫した生活をしている」シニアがいる。
筆者はこのシニアを「リーズナブルシニア」と名付けその特徴、消費性向の分析と攻略法を提案する。シニアの総人口の2割強いると筆者は推定。

1.特徴―健康で日常生活に支障ない、年金受給額や保有資産がやや少ない
 特徴は健康なので日常生活に支障はないが年金受給額や保有資産がやや少ないことだ。
働く意欲はあるものの安定収入が少なく、パートや時給での収入となる。
消費性向は健康なためその前の世代とは大きく変わらないが、出費を抑えるため価格志向が強い。
散歩や運動などは積極的に行い健康に配慮し、コストパーフォーマンスを重視する暮らし方をしている。

2.消費性向―お買い得品などで生活、パートなどで稼ぐ
 情報収集は在宅での新聞、テレビや無料で閲覧できる公立図書館を活用し、新聞、雑誌、書籍を読む。
早朝から図書館でシニアが熱心に新聞や雑誌などを読む姿をよく見かける。
行政主催の各種イベント、地域で開催されるラジオ体操、仲間との散歩、行政、老人クラブ、媒体主催のセミナーなどに参加する。
買い物はお買い得品などを積極的に利用し費用をかけない生活をしている。
また、少ない収入を補うため、パートなどの短期労働就業やシルバー人材センターなどを活用している。

3.攻略法―
①「価格メリットを打ち出す」
②「人材を戦力として活用する」
③「組織化し継続購入を促し生涯顧客とする」

攻略法は①価格メリットを打ち出す、②人材を戦力として活用する、③組織化し継続購入を促し生涯顧客とする、の3つだ。

1つ目の「価格メリットを打ち出す」方法は割引、クーポン、ポイントなどを積極的に活用する。
人生経験豊富なシニアが納得できる価格メリットの打ち出し方としては、耐久消費財は旧型新製品や中古品、食品ではシーズンオフ商品、荷崩れ食品、
不ぞろいな野菜・果物などを販売する。
「年金需給日(偶数月原則15日)割引」「シニア向け早朝イベント・早朝営業・早朝割引」、定額で期間中何度でも利用できる
「シニア定期券」を活用する方法などがある。

2つ目の「人材を戦力として活用する」方法は健康で働きたい人材を有効活用する。
景気が回復基調にあるものの多くの業界で人材不足が続き困っている。
そうした企業に人生経験豊な健康なシニアが活用できる場を探し、しっかりと再教育し戦力化するものだ。
また、シニアに活躍の場を提供し、その謝礼に商品券を渡し生活の一助にする方法もある。
例えば店前の掃除、イベント運営や事務手伝い、DMの宛名書き、人脈があるシニアにはPR活動などを依頼し、活動内容に応じてお店で利用できる商品券を差し上げる。
商品券を使うことでお店の商品を購入させるきっかけづくりや、活動への協力を通してお店のファンづくりもできる。

3つ目の「組織化し継続購入を促し生涯顧客とする」方法はシニアの1回あたりの購入額は少ないが一度購入し気に入れば継続購入率が高いため、
組織化し生涯顧客にすることで生涯購入額を高くする方法だ。年齢とともに体力が衰え、健康なシニアでもやがて要介護になり終末を迎える。
終末にはお墓、葬儀、遺産相続関連のビジネスもある。購入商品も体力によって変わるが組織化したシニアにその時期にあった商材を提供し続けることで生涯顧客化できる。
今後、年金財政が逼迫し、年金支給額の減少や年金支給年齢の高齢化が進めばこの層が増えることが予測され、その対策はさらに重要となる。

(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)