超高齢化でシニアの年齢が広がり見た目や健康格差が拡大、色々なシニアが存在する。このシニアをどう呼べば「自分たちのこと」として理解してくれるだろうか。
シニアビジネスで重要なことのひとつにシニアの呼称がある。
そこで77歳、日本元気シニア総研顧問でシニアマーケティング専門家として活動を続ける筆者がリアルシニアの目線を含めシニアの呼称を提案する。

「老人」と思わない高齢者が増える、「老後・余生」も通用しない
定年後の余命が10年位の時代には「老後・余生」と呼ばれていたが、65歳で定年を迎えたシニアの平均余命は男性で20年、女性で24年もある。
今、「老人」を「腰や背中などの曲がり具合」や「白髪の具合」など見た目の老化現象で判断する人が多く、「老人」という言葉にはかなり高齢で元気がないイメージがあり、
社会活動を続ける元気なシニアは自分たちのことを「老人」とは思っていない。また、20年もある人生を「余生・老後」とも思っていない。
「シルバーシート」は「優先席」に変更され、「シルバー」も時代にマッチせず、「敬老の日」「老人クラブ」を自分ごととは思っていない人が多い。

「シニア」が知的なイメージもあり、高齢者の総称として定着している
 ではシニアビジネスで重要な対象の65歳以上、70代、80代でも元気に仕事、スポーツ、趣味、社会貢献活動などを行っている高齢者をどう呼べば自分ごととして理解されるだろうか。呼称としては近年、「新00」「00現役」「ゴールド00」「00シニア」などの言葉が使用されている。新しい言葉の使用意図は理解できるがイメージとして定着しないと相手には伝わらない。これらの中では本稿でも使用している「シニア」が定着してきている。このシニアも2010年にはまだ認識が低く、筆者が某テレビ局に出演し肩書きを「シニアマーケティング研究家」にしたところ、シニアではわからないので「高齢者問題研究家」に変更された記憶がある。「シニア」は知的なイメージがあり、さらに、ビジネスでは上級者という意味もあり、今や高齢者の総称として定着してきている。中でも「アクティブシニア」が元気で活動的なイメージがあり、若い世代のシニア向けに使用され始めている。

女性は年齢を感じさせない「大人の00」「年齢00」
一方、女性は知的なイメージより美容への関心が高く、いつまでも「若い」「美しい」「綺麗」でありたいとの憧れがある。そのため、女性向けの美容や健康関連の広告では「若さを保つ00」「00才若い」「大人の00」「いつまでも美しく00」「健康な00」「年齢00」などの言葉が多く使用されている。女性は「実年齢より10歳から15歳も若く他人から見られたい」願望もあり、呼称には実年齢を感じさせない言葉、「大人の00」「年齢00」という表現がプレシニア世代も含めてアピールでき、活用されている。マーケティング活動でこれらの言葉を使用する際は年齢を感じない曖昧表現を商品特徴などで補足する必要がある。

今後、呼称はますます重要になる
今後ますます活躍する元気シニアが増える。呼称を間違えればせっかくの素晴らしい商品やサービスも狙ったシニアに届かなくなることを忘れてはならない。筆者は講演や執筆活動を続けているが「老人」と呼ばれたくないシニアの一人だ。筆者が参加した喜寿の会で「高齢になっても『老人』になるな!病気になっても『病人』になるな!」と挨拶した友人の言葉の意味の深さを実感している。


(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)