「年寄り」というアイデンティティしかない存在

「シニア市場」で一番稼いでいるのは悪名高き「オレオレ詐欺(正しくは「特殊詐欺」)」の連中だろう(2013年の被害総額は約487億円:警察庁)。身内への愛情とか目先の欲につけ込む単純な手口なのに、減るどころか前年比33.6%増だ。被害者なのに「生きているATM」とバカにされる。犯罪ではないものの、あなただって身内にたかられたり「投資」させられていないだろうか?

実際に、年寄りはバカなのである。ムダに齢とっているだけで脇が甘い。現役を引退して社会生活の幅が狭くなると、考えることも感じることもどんどん萎縮する。「3人寄れば年金と孫と病気の話」「カラオケ行けば同じ歌ばっか」「新聞とTVからしか世間を見ていない」……といった症状が出てくる。かつての自分は、「何のなにがし」という個人としてのアイデンティティで世間に対峙していたはずなのに、今や、ただの「年寄り」と十把ひとからげにされる存在であることを、まずは自覚しないとリアルな世間は見えてこない。

「シニア」をうたったサイトやシニアブログがいっぱい

「自分は元気シニア総研」に関わっているから感度ビンビンだぜ♪っていうのも甘い。世間には似たような団体がいっぱいあって、同じようなことをゴニョゴニョ言い、「誰が、何をもって、どう儲けるか」の画餅を描きあっている。また、年寄りたちのブログは年々増える一方だが、中身は昔ため込んだウンチクと日常茶飯事、「今どきの若モンは」風の説教と、あきれるほどのワンパターンである。

玉石含めて、参考のために一例を紹介しよう。

シニア情報企画室:シニア市場マーケティングを標榜し官庁や企業・団体の統計しりょうなどもたくさんある。

日本シニア総合研究所(日本夕陽紅総合研究所):ITから介護までやる社長が「起業支援」の投資家を募る。金儲け好きシニア向け。

シニア総研:主に高齢者福祉問題をテーマにビジネスしている。

NPOシニアネット総研:「シニアに活躍してもらうための情報提供」とか。「日本全国100人のシニアライター」の参加を募っている。

・ほかにも電通や三菱総研などシンクタンク系の「シニア」プロジェクトものも多数

次に年寄りたちのブログ。大手のプロバイダーには、必ず「シニア向け」カテゴリーがあるが、これは多すぎるから省略。

・にほんブログ村:70代執筆者の現時点のランク1位は「天真爛漫ちゃらんぽらん」氏。「よくやってきたよなって最近は爺ィ画自賛ばっかり 」てな調子。(熟年夫婦向けの「家族ブログ」というのもある)。

・アメーバブログのシニアライフ:同じく1位は「まるこさん」の「孫とマルチーズとじいちゃんの日常」……もう、読まなくてもだいだい見当つくでしょ。