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「元気シニアへのビジネス提案の新視点シリーズ」は日本元気シニア総研 顧問の富田眞司がシニアで起きているさまざまな現象や調査データを取り上げ分析し、そのことに対してシニアビジネス提案ができないか、その可能性を提案するものです。73歳のリアルシニア目線と、マーケティングプランナー目線から新視点の提案を行うものです。

第6回 世代別シニア分析「戦中シニア」

プレシニア、団塊シニア、そして、シニア第2期が戦中シニアといわれる人たちです。団塊世代の上の世代で、この上も昭和一桁世代の間に入ります。幼いころに戦争体験がありますが戦争には行っていない世代です。筆者も73歳で、幼いころ、戦争を体験しています。
5歳ごろに空襲にあい、深夜、お袋が乳母車に私を乗せ、田んぼに緊急至難した記憶があります。

その夜は農道に布団を敷き、真夜中、繰り広げられる空中戦を見た記憶は今でも鮮明に残っています。この世代の人たちは幼いころに、暗い戦争や、耐乏生活を体験し、モノがない時代、野球ボールやミットを手作りし、遊んだ記憶があります。そんな厳しい時代を体験していますので、団塊シニアのように、お金があるなら使えばよいという世代とはちょっと違います。お金はしっかりと使いたいという考えをもっています。

戦中シニアは今や後期高齢者前後の年代になりました。その特徴としては、下記のことが挙げられます。

●健康への心配高まる、伴侶の介護(始まる時期)
●夫婦の距離感微妙(見合い結婚から恋愛結婚に)
●資産が多い(高い貯蓄)
●創造する能力(戦後の復旧を支えた世代)
●情報難民が増える(おれおれ詐欺にひっかかる)

それでは、個々の内容についてふれましょう。

健康への心配が高まる、伴侶の介護(始まる世代)

75歳から後期高齢者といわれるように、体調が崩れ、医療費が増える世代の入り口の世代が多くいます。目の病気、足腰、糖尿、痛風、頻尿、睡眠障害、前立腺肥大などの症状が出始めるころです。そして、一方で伴侶の介護も始まる世代です。とにかく、健康への配慮が大切な世代です。

夫婦の距離感微妙(見合い結婚から恋愛結婚に)

見合い結婚主流時代から、恋愛結婚が半々時代、そして恋愛が増える時代になる過程の時期です。夫婦の関係も恋愛結婚が多い団塊シニアとは少し違い、いろいろな夫婦関係があります。多くは、亭主の発言力が高い傾向もあります。さらに、体調、健康など、夫婦の健康格差もあり、夫婦には微妙な距離感が出てきます。

資産が多い(高い貯蓄)

年金額も比較的多いのですが、元気な人は旅行などを楽しみ、楽しいシニアライフを満喫することができます。といって、派手に使わないで合理的でよく考えて使います。シニアで最もこころ豊かな時代とも言えます。一方で体調が衰えると、旅行やグルメなどの楽しみに少なくなり、医療費以外の出費が少なく、貯蓄の多い人もいるのが実態です。

創造する能力(戦後の復旧を支えた世代)

戦後の復興を支えた世代です。ものがない時代には、自分たちで工夫して道具を作成しました。ある人は、スポーツの道具を、またある人は手作りの麻雀牌をつくり、少ない小遣いの中で工夫して生活をしてきました。その意味では創造する能力が高い世代と言えます。NHKテレビで話題になったまさに「プロジェクトX」世代と言えます。この世代は道を創ってきた世代といえます。そして、次の世代、「団塊シニア世代」はその道を広げた世代といえます。

情報難民が増える(おれおれ詐欺にひっかかる)

一方で情報収集力にも、格差が出てきます。パソコンが使える人の割合が70代で約半分という調査結果があります。インターネットで情報収集できる人はネットからニュース情報、株売買などの投資、仕事、遊びなどの情報を簡単に収集できます。一方、ネット活用できない情報難民は新聞やテレビなどのマスコミによる情報収集しかできません。でも、情報収集意欲のないシニアには重要情報が伝わらず、「おれおれ詐欺」がいまだに減少しない実態があります。

★ビジネスへの活用提案

1. リーズナブル消費がキーワード
知識があり、消費に慎重な戦中シニアへの戦略は「リーズナブル消費」(納得のいく消費)がキーワードとなります。なぜ、お得なのか、なぜ、安いのかをしっかり明記することです。納得すれば、消費につながります。

2. 1泊2食温泉付、近場の格安バスツアーに何度も参加する
近くて便利、しかも、割安で旅行ができる格安バスツアーに人気があります。1泊2食、往復バスで送り迎え、しかも、温泉があればなおいいですね。何十回と旅行している人が多いようです。旅行というより、気軽な外出、食事と温泉を楽しむようなものです。リーズナブル発想のひとつといえますが、この発想がこの世代には重要です。

3. 素材を提供して自分で創造する
戦争中でものがない時代の自分で創造してきた世代です。工夫や創造が好きな世代なので、素材を提供して自分たちで創造して作るようなビジネスモデルでの市場開拓が可能となります。(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)