定年後は自分の時代、夫婦仲良く暮らすには
定年後は「長年働き続けた仕事から解放され、自宅でのんびり夫婦仲良く暮らしたいと思っている」シニアが多い。
しかし、家庭を守る妻は「亭主元気で留守が良い」とCMで話題になるほど、夫不在の生活を楽しんでいる。
そんな夫が定年後、自宅でのんびりして欲しい訳がない。
夫が現役時代は朝早く出かけ夜遅く帰宅するため、わが家は妻の天国だった。
そのため、会話が少ない夫婦も多い。その夫が定年後に在宅生活することになれば妻の生活が一変する。
まずは、昼食の支度、妻一人なら簡単に済ませたが夫が一緒ならそうはいかない。
外出するにも出先や帰宅時間が気になる。夫と一緒にいたくないため、パートに出る妻もいるという。定年後、初めて体験する夫婦中心の生活で予期せぬトラブルに困惑する。
そうならないために、定年後も活躍を続ける77歳の筆者が「定年後の夫婦がシニアライフを楽しむための3つの対策」を提案する。

対策1「夫は自宅でのんびりしない」
20年もある定年後は余生でも老後でもない。
「学ぶ時代」「働く時代」を経、定年後は「自分の時代」として人生を楽しむ時。短期間なら休養のつもりで、のんびりするのもよい。
しかし、20年もの間、自宅での閉じこもり生活では社会から孤立し、さびしいシニアライフになる。
そうならないためには自分がやりたい事をしよう。
ボランティア活動をする、学び直す、趣味・スポーツを満喫する、やりたい仕事をするなど、自分がしたかったことを見つけ、「自分の時代」を満喫して欲しい。
その活動を続けることで健康が維持でき、家族にも心配をかけないで済む。

対策2「夫婦仲良くし、夫は家庭での役割を分担する」
定年後の生活は家庭が中心になり、夫婦仲良くすることが大切。
夫の関心事は政治、経済、社会など、妻は美容、食、趣味、テレビ、ご近所の話題など、夫婦の「興味や関心事」の違いを理解する。
また、職場では上下関係だったが家庭では夫婦対等になる。
相手の腰をおらず、聞き役にもなり、会話を増やすことでお互いが理解できる。
一方、定年後、夫は自由時間が増えるが、妻の家事は変わらず大変だ。これを解決するには夫が家事を分担すること。
掃除、洗濯、料理、買い物など家事の一部を夫が受け持つ。
慣れない家事に妻から教わることも多く、家事の大変さを実感し、妻へ感謝の気持ちもわいてくる。

対策3「自宅を改装する。シニアライフを楽しむ場所へ移住する」
夫が働いていた時は自宅に居場所がなくても良かったが、定年後は夫の居場所が必要になる。
使わなくなった子供部屋を改築し、夫が楽しく生活できる書斎などにする。
夫が読書や趣味など自分だけの空間ができることで、夫婦、干渉せずに生活する場ができる。
また、改築する際には将来の介護にも備え、リビング、寝室、階段などのバリアフリー化を一緒に行い、長いシニアライフへの対応も考える。
さらに、住み慣れた場所からシニアライフを楽しむ場所への移住という選択肢もある。
現在の居住地から郊外、地方、田舎、海外への移住、生活が便利な都心のマンションやシニアマンションへの移住など、選択肢も多い。
20年もある定年後のシニアライフは夫婦仲良く、生涯、元気で活躍できるものであって欲しい。

(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)