寿命が延びたことで定年後のシニアライフが長くなり、この時代をどう過ごすかが課題となっている。
筆者は(社)日本元気シニア総研の活動の中で、人生を3分割し「学ぶ時代」(約20年)、「働く時代」(約40年)、「自分の時代」(約20年)と命名し、
定年後の「自分の時代」は目標をもって自分の意志で活動することを提唱している。
しかし、この時代は体力、知力とも衰え始める時期にあり、個人差も大きい。
また、「自分の時代」の生き方の参考になる教科書は少ない。
参考になるものは実際に活躍しているシニアの実態や定年をテーマとした書籍などがある。
最近、「定年」をテーマとした書籍が増え、話題になっている。

これらの書籍は定年後の生き方の課題や活動のヒントになるが、著者独自視点からの提言のため、シニア全般の生き方の教科書にはなりにくい。
そこで、筆者は目標を立てるため、活躍しているシニアの活動内容事例や、「趣味」「学習」「仕事」「社会貢献」などの具体的な選択肢なども参考に自分だけの目標を創り、その実現に向けて活動することを目的とした「スターティングノート」の開発や定年後に備える「定年予備校」などを開催してきた。
しかし、現実は定年ぎりぎりまで働き続けるため、何の準備もできず、定年後も仕事人間から抜けきれない人が多い。
それでは、地域社会や家族との関係がうまくいかないことにもなりかねない。
そうならないためにどうすべきかを77歳の筆者が「定年後の活動3つの対策」を提案する。

対策1は「定年前から定年後の生き方を準備する」
 定年後の自分の人生を楽しむためには「しっかり準備すること」が大切である。
それには定年前から準備する必要がある。定年前なら人脈もあり、情報も入手しやすい。
自分が何をしたいか気持ちの整理もできる。
休みなどを利用し自分がしたいことへのトライアルも可能だ。

対策2は「定年後に新たな生き方を見つける対策を行う」
 定年後の準備ができないまま定年を迎えると、定年後にどうしてよいかわからないことに気づく。
筆者のところにも「定年後に活躍したいがどうすべきか教えて欲しい」との問合せがくる。
同様の思いをしているシニアも多い。
その対策はシニア目線に立ち「自分の時代」をどう楽しむか、どう生きるかを分かりやすくまとめた情報や具体的な方法を総合的に提供できる対策を行うことが大切である。

対策3.「定年後は自宅に閉じこもらない」
 体力や知力が衰え、自分の活動が思うようにできない場合は、なるべく自宅に閉じこもらないようにする。
自宅に閉じこもれば、社会との接点もなくなり、ますます孤立し、情報難民や生きがい難民にもなりかねない。
飲み会、同窓会、イベント、集会などに積極的に参加し、仲間との会話を増やすなど、外出や会話する機会を増やすようにする。
人との出会いを増やすことが脳の活性化につながり、健康維持に役立つ。
20年以上もある定年後、大切なことは自分にあった「生き方」を発見することで、長いシニアライフを通して持ち続けるものを見つけて欲しい。
それができれば、健康維持につながり、健康寿命を延ばすことができる。超高齢化社会で元気なシニアが少しでも増えることを期待している。
(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)