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「元気シニアへのビジネス提案の新視点シリーズ」は日本元気シニア総研 顧問の富田眞司がシニアで起きているさまざまな現象や調査データを取り上げ分析し、そのことに対してシニアビジネス提案ができないか、その可能性を提案するものです。73歳のリアルシニア目線と、マーケティングプランナー目線から新視点の提案を行うものです。

第9回 老人と呼ばれたくない、今の元気シニア

寿命が長くなるとともに、元気なシニアも増えています。元気シニアにとっては呼ばれ方も(呼称)も重要です。それは自分が老人とは思っていないからです。

ところで、9月15日は「敬老の日」でした。老人と呼ばれたくないシニアは、どんな思いでこの日を迎えたのでしょうか。多くの元気シニアは私たちのことではなく、75歳以上の後期高齢者のことだろうと思った人もいます。

後期高齢者だって、老人と思っていない人もたくさんいます。歌手の加山雄三さんは77歳、どう見ても、老人ではありません。おじさんという感じですね。いや、お兄さんといってもおかしくありません。

過日、亡くなられた宇津井健さんは82歳でした。あの方も、おじいさんという雰囲気ではありません。お二人とも、理想のシニア。という執筆者も73歳ですが、老人と呼ばれたら腹が立ちます。自分では「生涯おじさん」を勝手に宣言しています。

好きでない言葉は「敬老の日」だけではありません。「老人クラブ」「老人ホーム」と呼ばれる施設もあります。そんな名前のところには行きたくないですね。

シニアと呼ばれたい

では、高齢者は何と呼ばれたいのでしょうか。2014年7月に、ゆこゆこネットメールマガジン会員(50代以上の男女)に調査した結果、年齢を重ねた人の呼び方で、あなたが呼ばれてもいいと感じるのはどれですか?という質問に対して、最も多い回答が「シニア」で全体では67.7%の回答を得ました。特に女性は73.6%と高い結果となりました。

ちなみに、「おじいさん・おばあさん」は全体で24.2%、「高齢者」は全体で19.5%と低くなっています。その他では、シルバーが全体で14.8%、お年寄り、老人、老年などにいたっては2~5%と低い結果となっており、呼ばれたくないですね。

日本元気シニア総研では、「元気シニア」という言葉を使用していますが、この元気シニアという言葉はシニア世代に受け入れられているようです。

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優先席が不要な元気シニアが多い

筆者は73歳でも、まだ若いと自負しています。元気なので電車内の優先席で決して席を譲って欲しくないと思っています。

ところで、「マタニティマーク」という言葉ご存知ですか。認知度はあまり高くありませんが、妊産婦が交通機関等を利用する際に身につけ、周囲が妊産婦への配慮を示しやすくするもので、そのマークをつけた人に優先席を譲るというものです。このマークをご覧になったらぜひ席を譲ってくださいね。

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そこで、席を譲って欲しくない「元気シニア」にも、元気シニアマークをつけ、「私は元気です。私に席を譲らないでください。」と書いたマークを腰につけたい心境です。このことを友人に話したら、そのマーク、私にも欲しいとか言っていましたが……。

★ビジネスへの活用提案

1. シニアビジネスでの呼称が重要
高齢者が呼ばれたくない呼称を先にあげましたが、シニアビジネスを展開する際にも重要になります。高齢者が喜ばない呼称で広告活動しようものなら、強い反感を呼びます。そこで、高齢者が呼ばれたい呼称と、呼ばれたくない呼称を筆者は独自の視点でまとめてみました。ビジネスのご参考になればと存じます。

呼ばれたくない呼称は、先ほどの調査と同じ結果ですが、呼ばれたい呼称には、「大人の○○○」をあげました。高齢者にとっては「シニア」よりも、大人のほうが心情的に歓迎されるからです。ただ、「大人の○○○」と表現すると、高齢者以外も含まれるので、注意が必要です。

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2. あえて「60歳からの」という表現で呼ぶ戦略もある
ターゲットが明確な場合、曖昧な表現より、しっかりと明示する戦略もあります。それが例えば「60歳からの」という表現です。好き嫌いというより、ドンピシャリと狙った対象にアピールできるならその方法もあります。

3. 覚えやすさも重要
イオンなどの複数企業が3年ほど前に「グランド・ジェネレーション(G・G)」というシニア向けの考え方を立ち上げました。「グランド・ジェネレーション」とは、小山薫堂氏が提唱するシニアに代わる世代の考え方で、とても素晴らしいコンセプトです。気になるのは、呼びにくく、覚えにくいということです。イオンは最近では「G・Gスタイル」という表現で使用されているようですが、これなら覚えられますね。覚えやすさも呼称では重要な要素です。(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)