シニア人口の増加に伴いシニアビジネスも拡大するが、どこに目をつけるかでビジネス戦略も変わる。今回はシニア市場獲得対策を3つの視点から提案する。

1.「既存市場獲得ビジネス」
1つ目が「既存市場獲得ビジネス」で定年後の人生が増えたにもかかわらず、これまでと変わらない生き方をする人たちを対象とするビジネス、
2つ目が「潜在需要顕在化ビジネス」で定年後、シニアが潜在的にやりたいと思っていることを実現させるビジネス、
3つ目が「新規需要創出ビジネス」で新しい発想でシニア需要を創造するものだ。
1つ目の「既存市場獲得ビジネス」は顕在市場でのシェア獲得になるため、商品やサービスに強力な武器が必要になる。
価格、品質、販売方法、サービスなどで他社より優れたメリットが求められる。
例えば、サービス面ではドローン活用による配送、シニアが不得手な取り付け、シニアのニーズが高い使い方相談や購入後のフォローなどがある。

2.「潜在需要顕在化ビジネス」
2つ目が「潜在需要顕在化ビジネス」で、潜在需要を顕在化させることで新市場を獲得するもので、シニアの潜在ニーズを探り、実現できる仕組みや仕掛けが必要になる。
何かしたいと潜在的に思っているシニアに必要情報の提供やお試し参加など、実現に向けた手助けを行うことで潜在需要を顕在化させ、ビジネスに結びつけるものだ。
例えば、定年後、「趣味」「学び」「社会貢献」など、新しいことに参加したい潜在的なニーズはあるが実現まで至っていないシニアが多い。
こうした潜在ニーズに必要情報の提供や啓蒙活動、相談やお試し参加などの活動を行うことで顕在化させ、ビジネスに結びつけるものだ。
この施策はシニアの潜在ニーズを探り、適切な手段を講じ、需要を獲得する活動が必要となる。

3.「新規需要創出ビジネス」
3つ目が「新規需要創出ビジネス」で、これまでにない全く新しい需要を創出するものだ。
20年間もあるシニアライフは決して「余生」ではない。シニアがもっと活躍できる機会を作ることで新市場を創出するもので、3つの中で市場拡大できる可能性が大きい。
「夢を実現させる」「新しいことに挑戦する」「いつまでも若さを保ちたい」「健康で長生きしたい」など、シニアの願望がキーワードになり、新しいことを実現させることで新市場が開拓できる。
社会性あるテーマで実施することで話題性を生み、新市場の獲得に結びつける。
例えば「ファションで健康ライフ提案」がある。地味で目立たない服装が多く、歩く姿勢も歩き方も良くないシニアが多い現状を「明るい服装で背筋を伸ばし、気持ちよく歩く」ことで「おしゃれで健康になり、積極的に活動できる」ようにする活動だ。ファッション、姿勢、歩き方、楽しい気持ち方などをトータルに「コト提案」することで、関連する商品やサービスの販売に結びつけるものだ。
実施にあたっては、話題づくりを行う啓蒙活動、お試し体験させる場作り、商品販売などを連携させる活動である。
この提案でシニアが健康で長生きすれば医療費の削減にも繋がる。
「新規需要創出ビジネス」は1社だけではなく関連する企業・団体、マスコミ、地域、行政まで巻き込むことができれば話題を生み成功に結びつく。
3つの中で最も「のびしろ」が多く、市場拡大の可能性が高い。
3つに分けてシニアビジネスの可能性を提案したが、それぞれ狙う対象が異なるため、狙う対象を明確にし、対象特性にマッチした対策を実施することが大切になる。