シニア市場を細分化する一つの方法が世代別分析だ。
戦後、急成長した日本、生きてきた時代で違う消費志向、進化するIT活用、高齢による老化現象など世代で大きく異なる。
そこでシニアを5つの世代にわけ、時代背景、シニアの特性、各対象向けビジネスの可能性を提案する。

1.定年前世代:健康に注意し、定年後生活の準備をする
1つ目の世代は50代後半から定年までの「定年前世代」。
定年延長されるものの、給与減額、役職定年、職能給導入など生活面で厳しさがある。
成功体験が少なく危機意識が弱いためゆでガエルと揶揄されたりするが、仕事をしているので収入も多く購買力はある。
主婦は体力や美貌の衰えが気になり、健康食品や老化対策化粧品などの購入が期待できる。
男性は定年後対策の準備需要が期待できる。この時期に顧客化すれば定年後の継続購入も期待できる。

2.団塊後世代:女性の地位が高まり友達夫婦に、IT活用も
2つ目の世代は定年後から団塊世代までの「団塊後世代」。
年金持ち逃げ世代とも言われ、高度成長の恩恵を受ける世代だ。
女性の地位や発言力が高まるこの世代は「友達夫婦」とも、消費意欲が高く「死して美田を残さず」とも言わる。
IT能力もありネット利用は60代の後半で71%(総務省2015年末)あり、ネット活用したコミュニケーションが可能だ。
退職時から定年後需要まで期待でき、住替え、退職記念消費、資産運用、仕事、旅行、趣味、教育、ゴルフ、健康関連消費など、シニア市場で最も期待できる市場として幅広い需要が見込まれる。消費意欲が高いため、シニアライフを楽しむ需要創造提案で市場が開拓できる。

3.中間世代:2つの面をもつ、体力の衰えが気になる
3つ目は小さい頃の戦争体験と戦争直後生まれを合わせた70代「中間世代」。
戦後の復興を働き蜂として支えた世代で、上の倹約世代と下の消費世代に挟まれ、多用な考え方をもつ。
退職金や年金にも比較的恵まれ、保有資産もあるが資産格差も大きい。
70歳以上の平均世帯貯蓄学(家計調査報告平成28年)は2446万円で60歳以上の2385万円より多い。
70代前半は健康なシニアが多く、趣味やスポーツを楽しむが、後半は体調不良が始まり、医療費への支出も増え始める。
ネット利用率は70代が54%とネットの活用格差が出る。雑誌や書籍を読まない情報難民もいる。富裕層向けのレジャー、スポーツ、カルチャー、観劇や同窓会需要や、体力低下に伴う健康対策需要も出始める。
個人差が大きく、マス媒体効果が出にくいため、対象を絞り込み、宅配、クチコミ、コラボレーションなどの対策が重要となる。

4.戦前世代:戦争体験の倹約世代
4つ目は80代「戦前世代」。
戦争体験など厳しい時代を生き抜き、倹約や節約志向高く、亭主関白家庭が多い。
男性寿命80歳、女性寿命86歳になり、体力が衰え要介護生活も始まり、楽しみも減少する。
80歳以上のネット利用は20%と低く、情報が十分伝わらず、オレオレ詐欺などの被害も増える。
消費は体力の衰えや不便を解消する生活補助関連、要介護、遺産相続、葬儀関連やエンデリングノートなどの需要がある。
倹約志向に対応した質素でも素材が良いものを提供すること、近場での販売、宅配や通販なども対応も必要になる。

5.超高齢化世代:要介護からエンディングへの関心高まる女性一人世代
5つ目はその上の「超高齢世代」。
90歳代以上になると亭主をなくした女性比率が高く、8割近くを女性が占め要介護者も多い。
介護サービスなどの要介護者対策や遺産相続や葬儀などのエンディング関連市場、女性のお一人様市場などがある。
シニア本人だけでなく家族も含めた対策も求められる。

(日本元気シニア総研 顧問 富田眞司)