もっと現場に踏み込もう。自分のこともわからないのだから

ボクはこのレポートで「シニア市場」をリアルに知るために「身の丈マーケティング」しかないと言っている。自分たちが当事者なんだから当然ともいえるが、自分のことほどわからないものだ。身近な同輩たちをもっと観察しよう、という意味が半分。もう半分は、一歩踏み込んでその日常をかき混ぜる、ひと皮向いてみるとかして、「身体」でつかもうよという提案を含んでいる。マスコミならぬ「マスゴミ」の言うことも、ネットの中のボケた連中も、ちっともリアルなシニアに迫っていないと思うからだ。

たとえば、こんな「探検隊」をやってみる

・足を踏み入れたことのないファストフード店……コンビニが年寄り対応になってきたが、ファストフードを巡ってみると、いろんな発見がある。ハンバーガー店系でもフレッシュネスバーガーやサブウェイは高齢者が増えている。ヘルシー志向メニューと感じる。それに気づいたことを投書すると(集団名だとベター)、妙にありがたがる流れになってきた。

・ディサービスや老健を見学してみる……いずれわが身。週1利用でも家族は助かるが、風呂に入ってオヤツたべて、風船つつきと童謡。そして「幼児扱い」に、プライドはひどく傷つく人もいるかもしれない。

・「出会い」系サービスにもちょっとだけ……それらしく「茶飲み友達」求めてみると、とんでもない高齢者や、シュガーダディ狙いの姉ちゃんや外国人から反応が来たりする。実情をつかんだら早目に離脱すべき。ほとんどが「釣り」なのだから本気になってはいけない。

世間が面白がってくれるための「仕掛け」作り

マーケティングは学問ではない。世間とやり取り、駆け引きするためのワザである。だからどんどん仕掛けて情況がどう動くかを見ることが必要だ。こんなことはどうだろう?

・シニア通貨……ビットコインでイメージを悪くしたが、ミヒャエル・エンデの「遺言」で知られる「仮想通貨」のコンセプトは正しい。「地方通貨」だけでなく、シニア同士が金銭ではない「気持ち」を流通させて人生を活性化させるためのマッチング事業。

・シニア達人登録……「シニア通貨」にも関連するが、漬物名人、日曜大工達人、ガーデニング名人、ジャズのウンチク大統領等々、まだ錆びていないスキルや知識を認定して「達人バンク」に登録。権威づければ、講師やTV・雑誌ネタなどの需要もあるはず。

・日本シニア遺産……シニアたちが「残したい」と思う有形・無形の日本の「遺産」を残す運動。「美しい日本語」「昭和の玩具・遊戯」「『子供の科学』付録」など、冗談っぽくても大丈夫。どうせ死語扱い、断捨離されるのだから……。